<干からびる韓半島>20年以上経つ古い上水道管が本当の問題
今月26日午後7時、忠清南道保寧市(チュンチョンナムド・ポリョンシ)の熊川(ウンチョン)福祉館。保寧市が10年ぶりに招集した緊急町内会に住民50人余りが参加した。深刻な日照りのために開いた非常会議だった。パク・サンモク保寧市企画監査室長は「節水運動に積極的に参加してくれたら来春は断水なしで水を供給できる」と説明した。その時、ある住民が「20年以上になる老朽化した上水道管から水が大量に漏れているのが本当に問題」と問い詰めた。すると「2008年から交換すると言っていたのに今まで何をしていたのか」「住民たちに節水ばかり強要しているのではないか」という批判が相次いだ。パク室長は「今の予算状況では交換は難しい。理解してほしい」と釈明するのに忙しかった。
忠清南道西北部など全国のあちこちの日照り非常事態は降水量不足が1次的原因だ。だが、これに劣らず隠れた要因がもう1つある。老朽化した上水道管を通じて、少なくない水が消費者に届く前に漏れ出ているという点だ。漏水量が多いということは、それだけ水道水の浪費が激しいということだ。上水道管から水が漏れる割合を意味する漏水率は、忠清南道15全体で市郡平均15.7%に達する。ソウル市(3.2%)はもちろん全国平均(10.7%)よりもはるかに高い。給水制限が行われている忠清南道西北部の8市郡の平均漏水率は25.0%にもなる。礼山郡(イェサングン)が36.4%で最も高く、舒川郡(ソチョングン、36.1%)や泰安郡(テアングン、30.6%)も忠清南道平均の2倍水準だ。
全体の水の供給量中まともに供給されて料金を受けとる流水率も8市郡は平均64.5%に過ぎなかった。全国平均84.2%よりも19.7ポイント、忠清南道の平均流水率(77.9%)より13.4ポイント低い。環境部は今年8月、忠清南道西北地域の流水率を85%まで高めるために上水道施設改良事業の予算134億ウォンを要請したが反映されなかった。
保寧ダムから8市郡に送られる給水量は、一日平均16万1800立方メートル。このうち漏水によって4万450立方メートルの水が漏れ出している。漏水率を道内平均である15.7%まで低くしても一日に1万5050立方メートルの水を節約できる。忠清南道で20年以上経つ老朽化した上水管路は2224キロ。交換費用だけで2048億ウォンが必要だ。費用は全て各市郡が負担しなければならない。パク・サンモク礼山郡予算チーム長は「管内の上水道管を全て整備するには280億ウォンかかるが、1年の予算4300億ウォンのうち使用可能予算が400億ウォンに過ぎず、毎年少しずつ整備するほかはないのが実情」と話した。
一方、近隣の瑞山市(ソサンシ)は2006年から上水道管理を韓国水資源公社に委託しながら漏水率を28.5%から13.9%まで下げた。これに対し礼山郡も2012年に委託運営を試みたが、公務員労組が「水道料金が引き上げられる恐れがある」と反対して失敗に終わった。だが、瑞山市の水道料金は委託後も大して変わっていない。水資源公社の関係者は「新規投資を通じて漏水を減らせば、生産単価を引き下げて人件費も節減できる」と話した。
環境部の統計によれば、2013年だけで全国の上水管漏水によって6億5600立方メートルの水が失われた。八堂湖(パルタンホ)の貯水量2億5000万立方メートルの2.6倍ほどだ。漏水による経済的損失も毎年5200億ウォンに達する。公州(コンジュ)大学のチョン・サンマン教授(建設環境工学部)は、「ソウルと忠清南道の市郡の漏水率の差は自治団体長が水管理にどれほど関心を持っているのかを示すものさし」として「中央政府にぶらさがる前に、ばらまき事業を減らして古い管の交換にもっと多くの予算を投じなければならない」と話した。
◆1立方メートル=横・縦・高さがそれぞれ1メートルである体積の単位。1立方メートルは1000リットル。摂氏4度の水1立方メートルの重さは1トン。このため立方メートルとトンが共に使われるが、水の量は体積の単位である立方メートルで表示するのが正確だ。
<干からびる韓半島>韓国の安い上水道料金
28日午後2時、忠清南道青陽郡青陽邑(チュンチョンナムド・チョンヤングン・チョンヤンウプ)の百千里(ペクチョンリ)上水道浄水場付近の管。大型ポンプが「ウィーン」という音を出しながら地下水を抜き取り、配水池側に流していた。地下水は保寧(ポリョン)ダムから来た水と合わさった後、浄水場で消毒処理をして各家庭に供給される。ここで処理する水量は一日3600立方メートルだ。
青陽郡は忠清南道の西部圏の8市郡の自主節水対策が始まる前の先月30日、浄水場半径1キロ以内にある管4本を復活させた。15年間、自ら上水道で使っていたものを閉鎖せず水不足に備えて施設を維持してきた。2010年に保寧ダム広域上水道に切り替えた後、運営を中断していた旧青陽浄水場も今月初めに再稼働させた。一部では「不必要な予算が投入されるから最初から閉鎖しよう」と主張していたが、イ・ソクファ郡守は「春の水不足の際に非常農業用水としても使おう」とこれを維持した。青陽郡は先月末まで保寧ダムから一日平均3900立方メートルの水を供給されていたが、自主節水後には1000立方メートルの水だけを供給されている。韓国水資源公社と忠清南道が勧告した20%の減量目標を上回る数値だ。
一方で忠清南道の泰安郡(テアングン)や保寧市などは減量目標を達成できなかった。むしろ使用量が増えた。泰安郡は通常2万700立方メートル使っていたのを1万6500立方メートルに減らすよう勧告したが、26日には普段より多い2万1700立方メートルの水道水を使った。保寧市は節水目標である2万3600立方メートルよりも4100立方メートル多い2万7700立方メートルを使った。泰安郡の関係者は「秋の行楽客が多い9~11月には飲食店やペンションなどで水の使用量が増え、減量が容易でないのが実情」としながら「地域を回って節水広報をしているが効果が大きくない」と話した。
水道水の供給が途切れるかもしれない危機を迎えたが、水の消費量を簡単に減らすのは難しい。このために過度な水の消費を減らせる対策が必要だという指摘が出ている。ソウル研究院のチョ・ヨンモ専任研究員は「水道料金が安いと水道管を管理する投入費用も減り、水の管理ができない悪循環が続いている」と指摘した。
韓国の上水道料金は国際的にも安い方だ。環境部が英国の水専門調査機関であるグローバルウォーターインテリジェンス(GWI)の2011年の資料を分析した結果、韓国(1立方メートルあたり0.58ドル)の上水道料金はデンマーク(3.91ドル)の15%程度に過ぎなかった。1人あたりの所得水準が似ているスペイン(1.33ドル)やイタリア(0.81ドル)と比較しても低い。韓国よりも所得が低いポーランド(1.31ドル)やトルコ(1.21ドル)よりも安い。単純に安いというよりも、原価以下で水道水を供給していることがさらに問題だ。環境部によれば2013年の全国の上水道の平均単価は1立方メートルあたり660.4ウォンだが、実際にこれを生産するための原価は849.3ウォンだった。原価対比の料金比率である料金現実化率は77.8%にとどまった。水不足を体験している忠清南道の場合、原価対比の料金比率が66%とさらに低かった。
このようになったのは4大河川に関する政争も影響を及ぼした。地方自治体に広域上水道を供給する水資源公社は、供給価格を7年続けて上げられずにいる。料金を現実化しようと試みたが、野党などから「4大河川事業による赤字を穴埋めしようとする下心ではないか」と批判したからだ。水資源公社の関係者は「広域水道料金は原価対比83.8%」として「上水道管を効率的に管理するためには適正料金をもらうべきなのに、政治的論争のためにこれをまともに議論もできなかった」と話した。現在、水資源公社の負債は13兆4616億ウォン(約1兆4215億円)だが、このうち約8兆ウォンが4大河川事業から生まれたものだ。
政府は今年9月に国家政策調整会議を開いて広域水道料金から得た収益を4大河川の負債償還に使用できないよう交通整理をした。その時になってようやく議論ができる契機が用意された。世宗(セジョン)大学建設環境工学科のペ・ドクヒョ教授は「水不足の長期化にともなう供給対策も必要だが、無条件に施設を増やすのは限界がある」として「『単身世帯の1カ月の水道料金がコーヒー1杯の値段より安い現実から改善しなければならない」と指摘した。地方自治体レベルの水資源の確保の努力も必要だ。忠南発展研究院のオ・ヘジョン責任研究員は「地方自治体が自主的に解決できる水資源が貧弱だ」として「地下水開発など地域ごとに水を確保できる対策を立てなければならない」と話した。
>単純に安いというよりも、原価以下で水道水を供給していることがさらに問題だ。