中谷防衛相が口開くたび窮地に追いやられる韓国国防部
日本の中谷元防衛相は20日の韓日国防相会談で、「一般的に言えば、日本は韓国の有効な支配が及ぶ範囲は、いわゆる休戦ラインの南側だと理解している」と述べた。有事の際、日本の自衛隊が北朝鮮地域に入る場合、韓国政府の同意がなくてもいいという意味だと解釈できる。しかし、韓国国防部関係者は会談直後、この部分の発言を除いて「韓半島(朝鮮半島)有事の際に韓米日の緊密な連携が必要だ」という発言だけを公表した。「(北朝鮮は憲法上、韓国領土だという)韓国の見解に対する理解がさらに高まったと思う」とまで言った。会談直後、日本の防衛省は中谷防衛相の発言をすべて公表したが、国防部は20日夜まで「そのような発言はなかった」と言っていた。
ところが、21日になって会議録が公開され、日本側の言葉が正しいことが分かった。すると、韓国国防部関係者は「『韓米日の緊密な協議』だけ公表しようと合意していたが、日本側がこれを破ったもの」と発言を変えた。そうした発言があるにはあったということだ。この関係者は「合意を破ったことについて、日本側に抗議した」とも言った。22日午前まで国防部はこの見解をかたくなに貫いていた。
だが、中谷防衛相は22日、韓民求(ハン・ミング)国防部長官との昼食会後、日本の報道陣に「(発言内容を非公開にすると合意した事実は)ない」と言った。その上で、「韓国領土で自衛隊が活動する場合、韓国の同意を得るのは当然のことであり、韓半島有事の際は日韓と日米韓が緊密に連携して十分協議することが必要だ。私としては一貫した発言をしている。韓長官との昼食会でも(日本が合意を破って公開したと)韓国は指摘しなかった」と述べた。
すると、韓国国防部は再びコメントを出し、「(発表内容に関連し)明確な合意があった。日本側の発言で合意がなかったとものと誤解される可能性があるのは遺憾だ」と言った。しかし、「発言内容を非公開にすることで合意したのか」という記者からの質問が相次ぐと、国防部高官は「非公開だと言ったことはない」と再び発言を翻した。「発言が違う」と騒動になると、国防部高官は今度は「誤解を生んだのは明らかだ。発言は変えていない」と言った。
韓国国防部が韓日国防相会談で発表した共同報道文も騒動になっている。共同報道文には「他国の領域内で日本の自衛隊が活動する場合は、国際法に基づき、該当国の同意を得る」という従来の日本側の見解しか盛り込まれていない。「北朝鮮は憲法上、韓国領土で、日本の自衛隊が北朝鮮に入る時は韓国の同意を得なければならない」という韓国側の見解は盛り込まれていないのだ。特に、日本政府は「日本の自衛隊の活動が韓半島を含む北東アジアの平和と安定に寄与する方向に進められるべきだということで、韓国が期待を表明した」とし、自衛隊の活動の拡大を骨子とする安保法制改正に対し韓国が支持を表したという論調で広報した。