人民元切り下げってそもそもなに?
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は11日から3日連続で、対ドル為替レートの「基準値」を引き下げました。11日には1.9%、12日には1.6%、13日には1.1%引き下げたことで、基準値は1ドル=6.116元から1ドル=6.401元になっています。
中国は、人民元の為替相場を一定の範囲内でコントロールする「管理変動相場制」を導入しており、人民元の変動幅は人民銀行が毎日公表する基準値から上下2%以内に制限されています。人民銀行が意図的にこの数字を変更すれば、事実上、為替を操作することが可能となります。今回は、人民元がドルに対して安くなるための操作ですから、これは人民元の切り下げということになります。
通貨切り下げは突然実施されたことから、市場に大きな衝撃を与えました。一部からは中国が景気対策のために、なりふり構わず通貨安競争をしかけてきたとの見方も出ていました。このため中国人民銀行は13日、異例の会見を行い、その主旨について説明しています。
それによると、一連の介入はすでに終了しており、これ以上の介入はなく、介入の目的も輸出を支援するためではないとのことです。もちろんこの説明をそのまま受け取ることはできませんが、米国政府が大きな反応を示していないところを見ると、両国間である程度のコンセンサスが取れている可能性が高く、通貨切り下げはひとまず終了と考えるのが自然でしょう。5日にIMF(国際通貨基金)が、人民元のSDR(特別引出権)採用を見送る理由として、人民元取引の自由化を進める必要があると言及したことも、今回の切り下げに関係しているとの声もあります。
通貨安は量的緩和策と同じ効果がありますから、景気が失速している中国としては、切り下げを実施したかったというのがホンネでしょう。このタイミングでの実施となったのは、米国の利上げが近づいていることが大きく影響していると考えられます。
米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、9月もしくは12月に利上げに踏み切るといわれています。利上げが実施されるとドル高が進む可能性が高く、新興国からドル資金が流出するリスクがあります。米国の利上げ後に中国が通貨切り下げを実施すると、世界経済への影響が大きいことから、今しかタイミングがなかったのかもしれません。市場関係者の中には、これで9月利上げの可能性がさらに高まったと見る人もいるようです。
>人民銀行が意図的にこの数字を変更すれば、事実上、為替を操作することが可能となります。今回は、人民元がドルに対して安くなるための操作ですから、これは人民元の切り下げということになります。

つまり、切り下げは市場の動向に沿うものなのだから、自由化へ一歩前進とも言える。
だから、米国の何も言わないし、言えない状況。
さらに、米の利上げで人民元安になることが目に見えているので、今切り下げをしたということなのだろうな。
7月の中国外貨準備高、前月から425億ドル減少
[北京 7日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表したデータによると、同国の7月末時点の外貨準備は3兆6500億ドルで、6月末時点から425億ドル減少した。月間ベースでは3月以来の大幅な減少となった。
ユーロ支えてきた中国、外貨準備積み増しの時代は終わりか
(ブルームバーグ・ビジネス):外貨準備資産を分散化させようとの中国による10年近くにわたる取り組みがユーロを支えてきた。だが4兆ドル(約495兆円)近い世界最大の外貨準備高を誇る中国の今の動きはユーロにとってはマイナス要因かもしれない。
中国人民銀行(中央銀行)は今年6月までの1年間に外貨準備高を2990億ドル減らした。経済成長鈍化や中国株急落の中で、民間部門による人民元売りを消化するためだ。1993年にさかのぼる人民銀のデータに基づけば、現在の外貨準備高の減少局面は過去最長。ドルへの依存を減らすため人民銀にユーロ買いを促した外貨準備積み増しの時代の終わりとなる可能性もある。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフ通貨ストラテジスト、ロビン・ブルックス氏(ニューヨーク在勤)は、「構造的な変化が進んでいる。ユーロがドルに対して値下がりする可能性をさらに高める」と指摘する。
ゴールドマンはユーロが約1年後に1ユーロ=0.95ドルに下落し、2017年には0.80ドルと一段安になると予想。「これまでユーロの強さに関連してきた要因、リザーブリサイクリングはかなり長い間、鳴りを潜める公算が大きい」と同氏は話している。
>7月末時点の外貨準備は3兆6500億ドルで、6月末時点から425億ドル減少した。