ルーブル危機:OPECの戦略 | 情報は自分で習得し、自分で判断する

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ルーブル危機、ロシア経済は「苦境」に=米経済諮問委員長

 [ワシントン 16日 ロイター] - 米経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は16日、ルーブルの急落について、ロシアの経済政策は「苦境」に陥った、と述べた。ただ、米国への影響は限定的との認識を示した。記者団に対して述べた。
 原油安や欧米による経済制裁を背景に、ルーブル相場は今年に入って対ドルで50%超下落している。16日だけで11%超も下落した。
 委員長は「もし私がプーチン大統領の経済顧問であれば、非常に憂慮するだろう」と語った。ロシアの緊急利上げについて、経済と信頼感が打撃を受けたと述べ「経済政策は苦境に陥った」との見方を示した。
 そのうえで委員長は「深刻な経済状況だと言えるが、これは主に、国際的なルールに従わなかった結果であり、自業自得だ」としている。
 委員長は、米国のルーブル危機へのエクスポージャーは限定的と述べた。米国の対ロ輸出は国内総生産(GDP)の0.1%に過ぎない。


米経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は16日、ルーブルの急落について、ロシアの経済政策は「苦境」に陥った、と述べた

 さて、米国が仕掛けた?原油価格下落に伴うロシア経済への影響ですが・・・

 米国側は勝利宣言みたいですな。

「深刻な経済状況だと言えるが、これは主に、国際的なルールに従わなかった結果であり、自業自得だ」

 ウクライナに対する侵攻は国際的なルール違反であり、まさに自業自得なのだよ!ワハッハッ~

ルーブル防衛に失敗、追い込まれたロシア

 [ロンドン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ロシア中央銀行がルーブル防衛に成功したのはたった2時間ほどだけだった。中銀は16日早朝に主要政策金利を10.5%から17%に緊急に引き上げて市場に衝撃を与え、いったんは前日約12%下落したルーブルが一段と安くなるのを食い止めた。しかしルーブルはすぐに下げ歩調に戻り最安値を更新。
 それはあたかも中銀が何も手を打たなかったかのようだった。政策担当者にはこれでもう短期的に妥当性を持つ対応策はほとんどなくなった。さらにいえば、もはやロシアがウクライナとの対立に終止符を打って西側の制裁が解除されるか、原油価格が急反発しない限り、市場の動揺は静まらない。もちろんどちらのケースも早晩実現する公算は乏しい。
 ルーブルの値崩れは、原油価格が1バレル=60ドル前後で推移すればロシアは来年深刻な景気後退に陥るとした中銀の見通しがきっかけだった。ロシア企業がなぜ、2016年半ばまでに必要な1380億ドル前後の債務支払いのためにドルを買いだめているのかは、石油収入の減少と制裁に起因する外貨調達手段の欠如が重なっているという現状がすべて説明している。個人の預金者は今年ルーブルが下落しても異例なほど平静さを維持してきたとはいえ、ここ数日は預金をドル建てに転換する動きが加速していて、中銀の緊急利上げへとつながった。
 しかしこの中銀の利上げも「衝撃と畏怖」の効果がなかった以上、次の一手が問題になる。政策金利を下げればルーブルがもっと下落するのは必至だが、これほど高い借り入れコストは経済的な痛みを増幅させる。国内ではデフォルト(債務不履行)が増え、もともと脆弱な銀行システムに不良債権が積み上がる。
 中銀としてはルーブルが底を打つまで様子を見る手もある。中銀は原油価格が60ドル近辺で安定すれば、通貨防衛のために積極的に為替介入すると示唆している。しかしこの仮定には大いなる疑問符がつく。北海ブレント先物は16日、3.5%下落して一時59ドルを割り込んだ。
 ロシア政府の中からは、ルーブル安についてもっと劇的な政策対応を喜んで検討する動きが出てくるのは疑いない。例えば厳格な資本規制などだ。それはロシアを旧ソ連型の統制経済という暗黒の時代へ逆戻りさせるリスクがあり、プーチン大統領は再三にわたってそうした措置の導入を否定している。とはいえ、窮地に追い込まれ通貨パニックに直面している大統領はすぐに、もうほかに手段はないと痛感するかもしれない。

Pierre Briançon


中銀は16日早朝に主要政策金利を10.5%から17%に緊急に引き上げて市場に衝撃を与え、いったんは前日約12%下落したルーブルが一段と安くなるのを食い止めた。しかしルーブルはすぐに下げ歩調に戻り最安値を更新。

 そんな中、ロシアはルーブルの下落が止まらず、政策金利を6.5%も上げるというとんでもない手を打つも・・・

 ルーブル売りは止まらず。

ロシア企業がなぜ、2016年半ばまでに必要な1380億ドル前後の債務支払いのためにドルを買いだめているのかは、石油収入の減少と制裁に起因する外貨調達手段の欠如が重なっているという現状がすべて説明している。

 特に、原油価格の低下でロシア企業の外貨調達が減り・・・

 来年の借金支払いが厳しい状況に・・・

 ルーブル下落を止めるためだけの金利の大幅引き上げは、国内経済へも大ダメージに。

 金利上昇で国内企業のデフォルトが増えることになり、銀行への影響も計り知れないことに。

ロシア政府の中からは、ルーブル安についてもっと劇的な政策対応を喜んで検討する動きが出てくるのは疑いない。例えば厳格な資本規制などだ。

 プーチンくんの打てる手立ても乏しく、資本の移動を取り締まるぐらいしか残っていない状況。

 しかし、それはさらに金融不安を増長させることに・・・

 米国は戦わずして、プーチンくんに勝利できるのかな?

 しかし、気になるのは中東情勢だよね。

 原油下落は、中東諸国への影響も計り知れないわけでして・・・

サウジが仕掛ける「石油戦争」、制御不能リスクも

Mohamad Bazzi
 [15日 ロイター] - 1973年8月、当時のサダト・エジプト大統領はサウジアラビアのファイサル国王に会うため、首都リヤドをお忍びで訪れた。イスラエルとの戦争を準備していた大統領は、サウジに石油という最も強力な武器を行使してもらう必要があったのだ。
 ファイサル国王はこの時点まで、「武器としての石油」を使うよう石油輸出国機構(OPEC)諸国に呼びかけることに二の足を踏んでいた。しかし74年10月にイスラエルと中東アラブ諸国との第4次中東戦争が勃発すると、アラブ諸国は石油生産を減らして価格を釣り上げるとともに、イスラエルを支持する米国を罰するため、石油の輸出禁止に踏み切った。サウジの協力がなければ、大規模な禁輸は不可能だっただろう。

 サウジは今日、再び石油兵器を利用している。しかし今回行っているのは価格押し上げと供給削減ではなく、その反対だ。6月以来、国際石油価格が大幅下落したのを目の当たりにしながら、サウジは減産を拒んだ。相場を反転させようとするどころか、11月27日のOPEC総会では減産見送りの音頭を取った。
 この政策は無視できない結果をもたらした。過去2年間、1バレル=105─110ドル前後で安定していた北海ブレント油は、6月の112ドルから60ドル近くまで下がった。ベネズエラのマドゥロ大統領は10月、「米国とその同盟諸国が石油価格の下落を望むのはなぜだろう」と問いかけた。答えは「ロシアを痛めつけるため」だろうか。
この答えは一部正しいが、サウジの策略はもっと複雑だ。同国が仕掛けた最新の「石油戦争」には標的が2つある。従来型石油と競合するには価格の高止まりを必要とする米シェールオイル生産者を市場から締め出すのが1つ。だがより大きな狙いは、シリアの内戦においてアサド政権を支えるロシアとイランを罰することにある。内戦が勃発した2011年以来、中東諸国と世界の列強はシリアを舞台に代理戦争を繰り広げてきた。
 サウジとカタールがシリアの反体制派に武器を提供しているのに対し、イランと、それより程度は落ちるがロシアは、アサド大統領が権力を維持できるよう武器や資金を供与してきた。
 米国がイラクに侵攻した2003年以来、アラブ世界の伝統的な中核国であるエジプト、サウジアラビア、その他湾岸諸国はイランの影響力拡大に神経を尖らせてきた。核開発の野望、イラク政府に対する影響力の拡大、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラム原理主義組織ハマスに対する支援、シリアとの同盟関係などだ。
 この紛争は今やイラン対サウジの本格的代理戦争へと発展し、中東地域全体に広がっている。双方ともこの戦いを次第に「勝者総取り」と見据えるようになった。レバノンにおいてヒズボラが優勢を確保すれば、同国でシリア反体制派のスンニ派が、ひいてはその保護者たるサウジがイランに敗北を喫することになる。イラクにおいてシーア派主導の政府が支配権を盤石のものとすれば、イランの白星はまた1つ増えるだろう。

 サウジ王家は現在、バーレーン、イエメン、シリア、その他どこであれ、イランの魔の手が伸びる恐れがある国との同盟強化を急いでいる。そして伝家の宝刀、石油を使ってイランとロシアに巻き返しを図ろうとしているのだ。
ロシアとイランは石油価格の安定に大きく依存している。数多くの試算によると、ロシアが予算公約を守るには石油は1バレル=100ドル前後を保っていなければならない。西側諸国からの制裁と経済的孤立に直面するイランは、さらに高い価格を必要としている。イランは既にサウジの戦略によって経済的打撃を被った。OPEC総会の減産見送り決定を受け、11月30日にイランの通貨リアルは対ドルで6%近くも下げた。
 サウジ自体は石油安の影響から身を守れると信じている。価格の下落分はいつでも生産増加によって補える。あるいは7500億ドルに上る外貨準備に少し手を付ければ、収益悪化の打撃を和らげることが可能だと。
 とはいえ、サウジが危険な賭けを演じていることは確かだ。イランやロシアのような独裁的体制が経済圧力によって行動を変える保証はない。さらに悪い可能性としては、サウジの策略が裏目に出て、ロシア、そして特にイランが中東におけるサウジの影響力拡大に対し、いよいよ態度を硬化させることが考えられる。
 シリアとイラクで代理戦争を繰り広げることにより、サウジはロシアおよびイランとの石油戦争を引き起こすリスクを冒している。短期的にはサウジが勝利を収めるかもしれない。しかし宗派間の争い同様、サウジの行為はだれにも制御できない大火に発展する恐れを秘めている。


サウジは今日、再び石油兵器を利用している。しかし今回行っているのは価格押し上げと供給削減ではなく、その反対だ。6月以来、国際石油価格が大幅下落したのを目の当たりにしながら、サウジは減産を拒んだ。相場を反転させようとするどころか、11月27日のOPEC総会では減産見送りの音頭を取った。

 そうそう!

 先日のOPEC、減産見送りにはかなり驚かされたのだが・・・

 原油価格低下を受け入れてまで減産に動かなかった原因は、

 ①減産は米シェールオイルの市場拡大を推進するし、そもそも低価格ならコスト高のシェールオイルにダメージを与える事ができる。

 ②低価格はシリアアサド政権を支えるロシアとイランを罰することができる。

 このような戦略の下、OPECは減産しなかったらしい~~。

 今回のルーブル下落、欧米による経済制裁の影響も大きいが、OPECの減産見送りが決定的要因になりそうだな。

 プーチンくんの今後の動向が注目だね。