計算機たたいて3年を無駄に…荒涼とした平昌

2018年2月9日。江原道平昌(カンウォンド・ピョンチャン)では冬季オリンピックが始まる。ところが準備状況を見ればオリンピックがまともに開くことができるのか憂慮の声が高い。平昌オリンピック開幕までは3年4カ月も残っていないが、いまだ競技場建設のための最初のスコップも入れていない場所があるためだ。
15日、江原道平昌郡大関嶺面(カンウォンド・ピョンチャングン・テグァルリョンミョン)の横渓里(フェンゲリ)高原練習場。地面に雑草が生えたサッカー場は、荒涼なことこの上なかった。ここは紆余曲折の末に平昌オリンピックの開・閉会式の会場に決まった。13日、崔文洵(チェ・ムンスン)江原道知事とキム・ジョンドク文化体育観光部長官、趙亮鎬(チョ・ヤンホ)平昌冬季オリンピック組織委員長らが参加した第2次高位級懇談会で開・閉会式の場所としてここを最終決定した。先月、第1次懇談会の時に文化体育観光部が江陵(カンヌン)総合運動場をリモデリングして開・閉会式場として使おうと提案したが、原案に戻ったのだ。
平昌大会を「経済的オリンピック」として行うというのが文化体育観光部の方針だ。それで江陵総合運動場を開・閉会式場として活用しようという案が出てきた。しかし取材陣が江陵総合運動場を直接見渡してみると、それは不可能なことだという事実を確認できた。周辺にはアパートや道路があり、かろうじてスタジアム空間が出てくるだけだった。出入り口と聖火が入る場所はもちろん、オリンピックプラザなどの附帯施設が入る空間がなかった。
3年4カ月先に迫っている平昌オリンピックが路頭に迷った。「経済的オリンピック」のために甲論乙駁を繰り広げて「競争力オリンピック」が遠のいている。開・閉会式場の変更論争は、平昌オリンピック準備の問題点を縮約している。予備妥当性の調査まで済んだスタジアム計画を白紙化しようとしたが、大義名分も実利も得られなかった。まず先に「開・閉会式は必ず主催都市で開かれなければならない」というオリンピック憲章34条に違反した。この過程で平昌・江陵の地方自治体と住民らの対立だけをあおった格好になった。一部の平昌住民らは反対闘争委員会を結成して開催権の返却も主張した。

開・閉会式場以外の競技場建設の総事業費としては計6993億ウォン(2011年誘致時点基準)が策定されている。文化体育観光部は事業費の20%を減らそうとしたが、削減案を見いだせないまま時間ばかりを浪費した。物価上昇率などを考慮した場合、事業費は8200億ウォン程度までふくれ上がる恐れがある。
さらに大きな問題は、江陵総合運動場の敷地に入る競技場だ。平昌オリンピックには開・閉会式場以外に計13の競技場が必要だが、このうち6競技場を新築しなければならない。ところが3競技場は最近工事を始め、スピードスケーティング競技場は事後活用の問題で最初のスコップさえ入っていない。江原道と組織委はスピード競技場をウォーターパークに活用する案を出したが、文化体育観光部が「江原地域にウォーターパークが7カ所にもなる」として競技場の再設計を指示したのだ。
江原道関係者は「新しく設計すれば1年かかり、工事期間は30カ月が必要だ」としながら「そうなると、いくら早くても大会直前に完工するという話なのに、これでは国際的な恥をかく。すべてのオリンピック競技場は大会1年前に示範大会を行わなければならないためだ」と話した。スピード競技場を除く氷上3競技場は7月17日に着工した。現場にはフォークレーンや作業員が投入されて初期工事の真っ最中だ。現在の工程率はせいぜい3%。予定よりも数カ月遅れたが2017年2月の完工を目標に工事を進めている。
キム・サンピョ組織委施設副委員長は「新築競技場の工事期限を考慮しながら汲々としている。最大限努力するしかない」と話した。キム副委員長は「江原道が推薦する施設専門家や文化体育観光部の推薦専門家が集まって会議を開く」としながら「基本計画を大きく変えないラインで案をつくる」と話した。
スピード競技場は随意契約で着工を急ぐ方法が議論されているが、法的問題がふくらむ素地がある。チェ・ムンシク組織委施設部長は「工事期間をいくら短縮しても22カ月はかかると予想している。夜間工事をすれば何とか間に合わせることはできるだろうが、建設コストの上昇は避けられない」と説明した。
今まで平昌オリンピックの準備は、仁川(インチョン)アジア競技大会の準備過程とかなり似ている。仁川アジア競技大会は2007年、安相洙(アン・サンス)元市長が大会を誘致し、2010年に就任した宋永吉(ソン・ヨンギル)前市長が大会準備を一手に引き受けた。開幕式に出たのは7月に就任した劉正福(ユ・ジョンボク)市長だった。市長が変わると、一貫性のある効率的な大会準備をするのは困難だったという指摘だ。
2011年平昌オリンピック誘致当時の組織委員長は金振ソン(キム・ジンソン)元江原道知事がつとめた。現在は崔文洵知事と7月に就任した趙亮鎬組織委員長が大会準備の責任を負っている。体育界の関係者は「仁川組織委の失敗を踏襲しないためにも新任の組織委員長中心で準備が進められなければならない」と話した。
無条件に建設予算を増やすのは望ましくないが、コストに対する縮小指向的な見解も変える必要がある。スポーツ評論家のチョン・ユンス氏(47)は「オリンピックを経済的側面でアプローチするのは限界がある。平昌オリンピックを通じてスポーツ・文化コンテンツを作って、マーケティングを通じて収益を出す方法を探さなければならない」としながら「平昌が仁川の前てつを踏まないようにすれば『オリンピックを通じて江原道と平昌のブランド価値が高まる』という認識を市民に浸透させなければならない」と話した。
>平昌オリンピック開幕までは3年4カ月も残っていないが、いまだ競技場建設のための最初のスコップも入れていない場所があるためだ。
>先月、第1次懇談会の時に文化体育観光部が江陵(カンヌン)総合運動場をリモデリングして開・閉会式場として使おうと提案したが、原案に戻ったのだ。
>現場にはフォークレーンや作業員が投入されて初期工事の真っ最中だ。現在の工程率はせいぜい3%。予定よりも数カ月遅れたが2017年2月の完工を目標に工事を進めている。