米デトロイト市が破産法の適用申請-都市の申請で人口最多
7月18日(ブルームバーグ):米デトロイト 市は18日、連邦破産法9条の適用を申請した。米連邦破産法の適用を申請した都市としてはこれまでで人口が最多。破産申請により同市は債権者への支払いを停止して財政均衡化と長期債務削減に取り組むことができる。
ミシガン州のスナイダー知事(共和)はデトロイト市のオール緊急事態局長に破産法申請の権限を付与する書簡の中で、「この偉大な都市が住民と納税者のために財政の健全性を取り戻す最後の手段として、この必要な措置を承認する」と述べた。
デトロイト市は市内の裁判所に申請し、10億ドル(約1010億円)を上回る資産と負債を明らかにした。
オール局長は5月、同市が流動性不足に陥る可能性があると表明。公務員への年金支給削減など、長期を含む170億ドル(約1兆7100億円)強の債務再編を提案した。
州裁判所の判事は18日、スナイダー知事とオール局長に対し、元市職員への年金支給削減を可能にする措置を暫定的に禁じたが、破産申請手続きは容認した。同市年金基金は17日、破産申請の差し止めを申し立てていた。
米自治体ではこれまでアラバマ州ジェファーソン郡やカリフォルニア州のサンベルナディーノ、ストックトン両市などが破産法9条の適用を申請している。
デトロイト市に関する著作があるスコット・マーテル氏は同市の破産申請前に電子メールで、白人の住宅所有者がデトロイト郊外へ移り始めた1950年代に始まった同市の衰退に米自動車メーカーの長年の人員削減が追い打ちをかけたと指摘。「税基盤が損なわれるとともに、市の基本的な行政サービスも悪化した」と説明した。
さ~て、噂どおりデトロイト市が堕ちたようですな~~
デトロイトの危機については、すでに何度かお伝えしました。
詳しくはコチラ⇒『デトロイト:破綻回避策発表』 2013/06/18
>州裁判所の判事は18日、スナイダー知事とオール局長に対し、元市職員への年金支給削減を可能にする措置を暫定的に禁じたが、破産申請手続きは容認した。同市年金基金は17日、破産申請の差し止めを申し立てていた。
先月、年金支給額削減などを行って破綻を回避するという政策を発表してましたが・・・
もちろん、年金基金などは猛反対。
今回の判決で、年金支給削減法は禁止、その結果破産法申請容認となったんだね。
ちなみに、基金は破産法の申請も指し止めて欲しいと申し立てていたんだな。
要するに、年金支給者達は、自分達の年金支給は減らすな!市の破綻も許すな!と言っていたわけだね。
>白人の住宅所有者がデトロイト郊外へ移り始めた1950年代に始まった同市の衰退に米自動車メーカーの長年の人員削減が追い打ちをかけたと指摘。「税基盤が損なわれるとともに、市の基本的な行政サービスも悪化した」と説明
デトロイトの人口は2000年からわずか10年間で25%減少し、約70万人にまで減った。ちなみに1950年には200万人近くが住んでいたのに、自動車産業の衰退とともに、治安悪化など様々な問題が噴出。
今後、再建できるのか注目ですな。
破綻債権ファンドが狙うデトロイト市、地方政府に照準移す
[8日 ロイター] 過去20年間に破綻企業に投資し、「ハゲタカ」と非難されることもあったディストレス債専門のヘッジファンドが、今度は財政の悪化した市や郡に狙いを定める可能性がある。中でも注目の的はデトロイトだ。
米連邦準備理事会(FRB)の低金利による恩恵もあって、大きなもうけが期待できる企業の破綻が鳴りを潜めたため、地方債市場への関心が突如として高まっている。
地方政府への投資は社債投資とは異なるリスクもはらむが、それでも一部ファンドは既に数億ドルの投資に乗り出している。
裁判所の記録によると、モナーク・オルタナティブ・キャピタルはアラバマ州ジェファーソン郡の債権を6億ドル以上購入した。
しかしデトロイトほど魅力的な場所は他にない。デトロイトの長期負債は86億ドルで、仮に最終的に破綻申請するとなれば最大級の企業破綻に匹敵する規模だ。一度に数億ドルを投資するのに慣れた大手ヘッジファンドにとってこれは、大きな利点となる。
債務規模だけを考えても、ファンドは(1)非常にまとまった額の債券購入(2)潜在的利益の最大化(3)調査・アドバイザリーのコスト削減(4)債務再編交渉に入った際の影響力行使──が容易になる。
デトロイト市の非常時管理責任者ケビン・オー氏の報道官は、同市は財政再建の方法を依然検討中であり、ヘッジファンドからの投資打診は一切承知していないと述べた。
デトロイトはかつて米国で5番目に大きい市で、産業の中心地だった。しかし現在、人口はピーク時の180万人から70万人に急減し、その3分の1は貧困層。街灯などの基本的公共サービスも破綻している。ミシガン州のスナイダー知事は3月、デトロイト市の財政立て直しに向けて企業破綻専門家のオー氏を任命した。
デトロイト市が破綻申請しないとしても、債務再編の可能性は高く、ヘッジファンドに収益機会がもたらされそうだ。
<デトロイトへの道>
ヘッジファンドと取引のある財務アドバイザーや債務再編コンサルタント、弁護士らがロイターに語ったところによると、彼らは利益の大きい投資方法を見定めようと問い合わせに対応したり、書類を調べたり、場合によってはデトロイトに飛ぶなどしてきた。
地方政府に再建について助言するブラント・ポイント・アドバイザーズの創設者、マーティ・コパツ氏は「だれもがデトロイトに入る道を探している。これは新しく、特異な現象だ」と語る。
通常は口の堅いディストレス債ファンドのマネジャーらも、デトロイトについて調べ回っていることを確認した。
ストーン・ライオン・キャピタルの創設者、アラン・ミンツ氏は「他のファンドと同様、われわれもデトロイトを狙ってきた」と話した。
米企業は手元資金が潤沢になり、債務不履行や破綻、清算はほとんど姿を消した。対照的に、米国の市や街の中には、好況時に約束した給与や年金の支払いに苦心する例が少数ながら見られ、今後その数は拡大する可能性がある。
ジェファーソン郡以外にも、カリフォルニア州ストックトン、サンバーナーディーノ両市が最近、財政破綻している。
<投資の方法>
ヘッジファンドは地方政府について資産やローン債権の売却を含む多様なアプローチを検討しているが、デトロイトの場合は債券が大きな魅力だ。
法律事務所グッドウィン・プロクターで公的・民間開発慣行責任者を務めるルイス・フェルドマン氏は「デトロイトの債務価値が下がれば、ファンドは市場でそれを拾い、市の再建を助ける解決策に取り組むだろう」と述べた。
ことしに入り、デトロイトの年金証書2500万ドル分が額面1ドルに対し0.66ドル前後で取引されたことがあった。買い手は分かっていないが、調査会社ミュニシパル・マーケット・アドバイザーズのマット・ファビアン氏は、ヘッジファンドの関与を示している可能性があると言う。
ファビアン氏の仮説では、ファンドはデトロイトとの間で、年金証書の返済額について額面当たり0.80ドルで手を打つと持ちかけたとしても、大きな利益を得られる。額面で買っていた投資家は痛手を被るが、デトロイトは助かる。
フェルドマン氏は「デトロイト市民、ヘッジファンド自体の両方にとって良い話だ」と述べた。
ファビアン氏によると、元本削減が実現すれば、地方債は財政破綻の際にも元本返済されるという長年の信用が崩れかねない。そうなれば債券価格は下落し、ヘッジファンドが買えるディストレス債がさらに増える可能性もあるという。
ストーン・ライオンのミンツ氏はファビアン氏のシナリオを一蹴しながらも、ファンドは正当な理由があれば元本を下回る返済の受け入れも検討するだろうと述べた。
>過去20年間に破綻企業に投資し、「ハゲタカ」と非難されることもあったディストレス債専門のヘッジファンドが、今度は財政の悪化した市や郡に狙いを定める可能性がある。中でも注目の的はデトロイトだ。
なるほど、禿タカにとっては狙い目らしい・・・
>デトロイトの長期負債は86億ドルで、仮に最終的に破綻申請するとなれば最大級の企業破綻に匹敵する規模だ。一度に数億ドルを投資するのに慣れた大手ヘッジファンドにとってこれは、大きな利点となる。
負債の規模が巨額なので、投資に対するリターンが魅力なんだな・・・