FOMC:米国債を毎月450億ドル購入、保有資産が拡大へ
12月12日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)は11-12日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、資産購入プログラムを拡大して1月から米国債を毎月450億ドル購入する方針を表明した。また、政策金利の見通しを失業率とインフレ率に関連付ける方針も初めて示した。
バーナンキFRB議長はワシントンで記者会見し、「雇用市場で現在広まっている状況は、潜在する人的および経済的な可能性を著しく無駄にしている」と発言。「物価安定という状況で経済活動を促進するのに必要なだけ、緩和的な政策を維持する」と語った。
FOMCは失業率が6.5%を上回り、「向こう1-2年の」インフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる考えを示した。さらに「これらの基準は従来の日付に基づいた指針と整合性があると認識している」と指摘。「少なくとも2015年半ばまで」低金利を維持するとの方針を明示していた従来の文言を声明から削除した。
クレディ・スイスの米国担当エコノミスト、ダナ・サポータ氏は「危機が始まって以来、FOMCは非常に積極的だが、人々の失業期間が長引くほど職場復帰が難しくなるため、圧力も感じている」と話した。
「市場の見通しを見ればよい」
バーナンキ議長は政策金利の見通しを経済指標に関連付ける手法について、政策の先行きに関して市場と対話する上で日付に基づいた指針を使用するよりも良い方法だと述べた。その理由として、市場が当局の政策変更を推測できることを挙げた。
さらに「景気が予想よりも強い、あるいは弱いとの情報が伝わったとき、指針となる日付は原則として変更する必要性が出てくるが、基準は必ずしも変更する必要はない。データ調整は市場によって可能で、単純に市場が示す見通しを見ればよい」と話した。
政府支援機関の毎月400億ドル規模の住宅ローン担保証券(MBS)購入については継続する方針を表明。「労働市場の見通しが大幅に改善されない場合」、資産購入を継続する方針を明示した。
毎月450億ドル程度の短期債を売却し、期間が長めの証券を同額購入する、いわゆる「オペレーション・ツイスト(ツイストオペ)」は年末に失効する。このプログラムではFRBの保有資産は変わらないが、新たな購入計画の下では保有資産は拡大していく。
国債買い切りを始める決定について、バーナンキ議長は金融緩和の水準を「大幅に」に引き上げるものではないと述べた。その上で、資産購入のペースについて「柔軟に対応しようとしている」と指摘、債券購入プログラムの規模の決定には「定性的な」基準を使用すると語った。
FOMCは「資産購入プログラムが終了し景気回復の力強さが増した後も相当な期間、非常に緩和的な金融政策スタンスが引き続き適切になる」と指摘した。
政府機関債と住宅ローン担保証券の償還元本を住宅ローン担保証券に再投資する現行方針の維持も確認した。
リッチモンド連銀のラッカー総裁は資産購入に異議を唱え、8会合連続で反対票を投じた。
ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、月400億ドルの既存のMBS購入計画に加え、月450億ドル規模の米国債購入の決定が予想されていた。
FOMC定例会合参加者の過半数は2015年まで政策金利の引き上げはないとみている。また15年の失業率は中心傾向で6-6.6%が予想されている。
来年の国内総生産(GDP)は2.3-3%増が見込まれている。9月時点の予想は2.5-3%だった。2014年については3-3.5%増が予想されており、従来の3-3.8%増から予想レンジの上限が引き下げられた。中心傾向は最も高い3つと最も低い3つの予想を除いたもの。
バーナンキ議長は「財政の崖」について、「大きなリスク要因だ」と指摘。不透明感や悲観論を引き起こし、すでに投資や雇用に打撃を与えていると述べた。さらに、金融当局は財政の崖を相殺する手段を持たないとも語った。
>米連邦準備制度理事会(FRB)は11-12日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、資産購入プログラムを拡大して1月から米国債を毎月450億ドル購入する方針を表明した。また、政策金利の見通しを失業率とインフレ率に関連付ける方針も初めて示した。
>、「向こう1-2年の」インフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる考えを示した。さらに「これらの基準は従来の日付に基づいた指針と整合性があると認識している」と指摘。「少なくとも2015年半ばまで」低金利を維持するとの方針を明示していた従来の文言を声明から削除した。