スペイン不安に拍車、銀行の不良債権問題-94年以来の高水準
4月18日(ブルームバーグ):スペインの銀行の不良債権が増加している。これ以上の財政負担を回避しつつ、これら不良債権の処理が可能だと政府が投資家を納得させられるかどうか不信感に拍車が掛かっている。
スペイン銀行(中央銀行)の18日の発表によれば、スペインの銀行の貸し出し全体に占める不良債権の比率は2月に8.16%と、1月の7.91%から上昇し、1994年以来の高水準。2007年の時点では1%を下回っていた。
同国では失業率が24%に達する経済情勢の悪化で与信ブームの際に積み上がった融資の質が劣化し、銀行の新規融資意欲を損なっている。これに伴いデフォルト(債務不履行)が増加し、与信も記録的なペースで縮小している。
不良債権問題の規模をめぐる不安の高まりは、スペインの銀行株に打撃を与え、経営難の銀行の支援コストが債務負担を増大させかねないという投資家の懸念が広がり、政府の借り入れコスト上昇を招いている。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポートフォリオ管理責任者、アンドルー・ボゾムワース氏(ミュンヘン在勤)は「偶発債務をどこまで中央政府に移せるかがスペインをめぐる懸念の一つだ」と指摘。銀行の不良債権は「失業率と経済情勢を考えれば増加せざるを得ない」との見方を示す。
一方、大和キャピタル・マーケッツのエコノミスト、トビアス・ブラットナー氏(ロンドン在勤)は「われわれの多くの不安が不良債権の増加が避けられないという前提に基づいている」と分析し、スペインの住宅価格はまだ最大20%下落する可能性があると予想。「銀行のバランスシートにさらに穴が開く恐れがある」と警告する。
ブラットナー氏は、景気後退や資産価格下落の深刻さにもよるが、スペインの銀行には最大400億ユーロの追加的な引き当てが必要ではないかと考えており、「銀行セクターの収益性の見通しが厳しいことを前提とすれば、政府が求める引当金を確保できるかどうか心配だ」と話している。