作業員2人は足を局所被曝 千葉の専門医療施設へ
東京電力福島第一原子力発電所3号機で被曝(ひばく)し、福島県立医大病院に入院した作業員2人は25日、高度な放射線医療を担う放射線医学総合研究所(千葉市)に向かった。4日間ほど入院し、精密検査などを受ける予定。

2人は、部屋が暗くて床に水がたまっていたのに気付かず、くるぶしまで水に漬かった状態で数十分作業を続けたという。下着にしみ込み、ひざ下の皮膚に高い放射能を帯びた水が付着し、局所的に被曝をしたとみられる。
2人が上半身に付けていた放射線量計の値は173~180ミリシーベルト(シーベルトは放射線の人体影響を表す単位。緊急作業時に浴びる放射線の限度は年間250ミリシーベルト)。ただ、その後の調査で、水面での放射線量は毎時400ミリシーベルト、水の外で毎時200ミリシーベルトだった。2人の足の被曝線量は不明だが、かなり強い放射線を浴びたとみられる。
鈴木元・国際医療福祉大教授(被曝医療)は「放射性物質の含まれる汚水が皮膚につくのは危険。乾燥すると被曝線量が増える」と言う。
東電は、2人の足に、放射線の一種(ベータ線)を浴びてやけどのような症状になる「ベータ線熱傷」が起きる可能性があるとみている。放射線の量によって症状の出る時期はずれるが、通常、被曝1~2日後に皮膚が赤く腫れ、1~2週間後から水ぶくれやびらん状態など、やけどのような症状が起きる。
治療は基本的にはやけどの治療と同じ。患部を清潔に保ち、皮膚が再生するのを待つ。
皮膚の再生能力が傷ついたり、やけどの面積が広かったりする時は、皮膚移植をすることもある。
島崎修次・日本スキンバンクネットワーク理事長(救急医学)は、「よほど大量に被曝したのでなければ、局所被曝の場合、皮膚から病原体が入り込んで感染症にならない限り生命にかかわることはない」と話す。
>東電は、2人の足に、放射線の一種(ベータ線)を浴びてやけどのような症状になる「ベータ線熱傷」が起きる可能性があるとみている。
昨日の被ばくの関する問題点を分析してみる。
>2人は、部屋が暗くて床に水がたまっていたのに気付かず、くるぶしまで水に漬かった状態で数十分作業を続けたという。下着にしみ込み、ひざ下の皮膚に高い放射能を帯びた水が付着し、局所的に被曝をしたとみられる。
昨日の一報を聞いて、なぜ足を被ばくしたのか理解できなかったのだが、昨夜のNHKニュースや上記の朝日の記事で、大体の概要がつかめた。
身につけていた線量計では170~180mSv。このくらいの数値なら、皮膚にやけどのような障害が発生するわけないと思っていたのだ。
>水面での放射線量は毎時400ミリシーベルト、水の外で毎時200ミリシーベルトだった。2人の足の被曝線量は不明だが、かなり強い放射線を浴びたとみられる。
ここで問題となるのが、毎時400mSvと比較的高線量の放射性物質に汚染された水に、足が直接触れていたことだ。
上記の絵を見るとわかるが、これは長靴を履いて作業していれば、直接皮膚に触れることもなく、防げた事故だろう。
例え400mSvとはいえ、1時間程度の作業なら皮膚障害は発生しないはずだ。
皮膚に2000mSv程度の被ばくがなければ、やけどなどの障害は発生しない。
>放射線の量によって症状の出る時期はずれるが、通常、被曝1~2日後に皮膚が赤く腫れ、1~2週間後から水ぶくれやびらん状態など、やけどのような症状が起きる。
さらに、疑問だったのが、昨日にはすでにやけどのような傷が出ていてベータ線熱傷であるという報道・・・そんなに早く皮膚症状が出るとは思えなかったのだ。
想像するに、作業終了後全身の被ばく検査をした際に、足部から高線量の放射線が検出されて、東電側も大慌てで対応し、情報が錯綜したのだろう。
ちなみに、放射線被ばくによる皮膚障害といえば、1971年に発生した千葉市におけるイリジウムによる放射線被ばく事故が有名である。
詳しくはコチラ⇒http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-03-02-11
千葉県内のある造船所の構内で、作業員が非破壊検査用の強力な放射線源であるイリジウム192を拾った。それが何なのかわからないまま好奇心からズボンのベルトにさし、下宿に持ち帰った。下宿を訪ねた5人とともに6人(年令:20~30才)が被ばくし放射線急性障害が生じた。そのうちの1人は、右手の潰瘍(かいよう)と糜爛(びらん)を繰り返し、22年後に血管の萎縮による右第1指(親指)と第2指(人差し指)の拘縮と骨の萎縮、病原菌による感染と疼痛が生じ、この2本の指を切断した。

上記のものが、イリジウム192の線源である。これをズボン後ろのベルトに差していたために、工員はでん部に放射線による皮膚障害を発生した。
写真は少しグロイので興味のある方は⇒http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09030211/04.gif
>島崎修次・日本スキンバンクネットワーク理事長(救急医学)は、「よほど大量に被曝したのでなければ、局所被曝の場合、皮膚から病原体が入り込んで感染症にならない限り生命にかかわることはない」と話す。
生命への影響はないと思われるが、回復をお祈りいたします。