FOMC声明:インフレ率を物価安定水準に戻すため必要なら追加緩和
9月21日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC) が21日に発表した声明は以下の通り。8月の前回会合以降に入手した情報から、生産と雇用の回復ペースはこの数カ月で減速したことがうかがわれる。家計支出は徐々に伸びつつあるが、高い失業と所得の伸び悩み、住宅資産の減少、厳格な信用条件によって依然抑制されている。企業による機器やソフトウエアへの投資は増加しつつあるが、この1年間にみられたペースよりは遅くなっている。非住居用建造物への投資は引き続き弱い。雇用主は雇用拡大に依然として消極的だ。住宅着工は依然として抑制された水準にある。銀行融資は縮小が続いたが、縮小ペースはこの数カ月で低下した。経済の回復ペースは当面、緩やかなものになる可能性が高いものの、物価安定という流れの中でより高いレベルの資源活用へ徐々に復帰すると委員会は予想する。
基調的なインフレを示す指標は現在、FRBが責務とする最大限の雇用確保と物価安定の促進に長期的に一致していると委員会が考える水準を、幾分か下回っている。著しい資源のたるみ(スラック)が引き続き価格圧力を抑え、長期的なインフレ期待は安定しており、インフレは当面、抑制された状態が続き、その状態を経て当委員会が責務と一致すると考える水準に上昇する可能性が高い。
委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0%から0.25%のレンジで据え置き、低レベルでの資源活用とインフレ抑制トレンド、安定したインフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、FF金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き続き想定している。
委員会は今後も経済見通しと金融の動向を見守り、景気回復を支援し時間をかけてインフレを責務と一致する水準に戻すため、必要に応じて緩和措置を追加する意向だ。
このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ダドリー副議長、ブラード総裁、デューク理事、ピアナルト総裁、ローゼングレン総裁、タルーロ理事、ウォーシュ理事が賛成した。
一方、ホーニグ総裁は経済がゆっくりとした回復を続けるとの判断に基づき、今回の決定に反対票を投じた。同総裁は従って、FF金利誘導目標を異例の低水準に長期にわたって設定する可能性を引き続き示すのはもはや正当化されず、安定した長期成長を損なう不均衡を将来にもたらすとみている。ホーニグ総裁はさらに、経済、および金融の状況を踏まえ、委員会の政策目標を支援するうえでFRBの保有証券の元本再投資を継続することが必要だとは考えない。
FOMC:必要なら追加緩和、保有証券拡大は見送り
9月21日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)は21日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表、経済の先行きや金融情勢の展開を注視し、「必要に応じて、追加金融緩和を実施する用意がある」との見解を示した。ただ、保有証券の拡大は見送った。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標については、「長期にわたり」ゼロから0.25%のレンジにとどめる方針をあらためて示した。
FOMC声明は「委員会は今後も経済見通しと金融の動向を見守り、景気回復を支援し時間をかけてインフレを責務と一致する水準に戻すため、必要に応じて緩和措置を追加する意向だ」と言及した。
米金融当局は景気回復と雇用拡大のペースが「過去数カ月に減速した」と指摘。さらに「基調的なインフレを示す指標は現在、FRBが責務とする最大限の雇用確保と物価安定の促進に長期的に一致していると委員会が考える水準を、幾分か下回っている」としている。
FOMCは金融システムからの流動性流出を防ぐため、前回の会合で示した公開市場操作用口座を2兆ドル前後で維持する方針を維持した。
声明は「インフレは当面、抑制された状態が続き、その状態を経て当委員会が責務と一致すると考える水準に上昇する可能性が高い」と指摘している。
メシロウ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「FOMCはインフレ率が現在、連邦準備法で定められた物価安定水準を下回っていると明確に言及している」と指摘。インフレ率がさらに低下すれば、FOMCは追加緩和を実施する可能性が高いとの見方を明らかにした。
カンザスシティー連銀のホーニグ総裁は6会合連続で反対票を投じた。定例会合での反対票の連続投票としては1955年以降の最長に並んだ。同総裁は「FF金利誘導目標を異例の低水準に長期にわたって設定する可能性を引き続き示すのはもはや正当化されない」と反対理由を説明した。
バーナンキ議長は8月27日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで、2011 年の景気上向きへの前提条件は「引き続き整っているように見受けられる」と話した。一方、「FOMCは必要と判断されれば、非伝統的手段を通じて追加の金融緩和策を講じる用意がある。景気見通しが著しく悪化した場合には特にそうだ」とも語っていた。
さらに、大規模な資産購入を再開した場合のリスクとして、FRBのバランスシートを縮小し、インフレ高進を回避する金融当局の能力に対する国民の信頼感が低下する恐れを挙げていた。
>大規模な資産購入を再開した場合のリスクとして、FRBのバランスシートを縮小し、インフレ高進を回避する金融当局の能力に対する国民の信頼感が低下する恐れを挙げていた。