住宅ローン債権回収(サービシング)契約(MSR) | 晴走雨読

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米銀大手、住宅ローンサービシングで評価損の恐れ-JPモルガンも

 10月12日(ブルームバーグ):資産規模で上位4行の米銀は、保有する住宅ローン債権回収(サービシング)契約(MSR)で550億ドル(約5兆円)の評価損が出る可能性がある。2009年4-6月(第2四半期)にはMSRの評価額を110億ドル引き上げていた。
 バンク・オブ・アメリカ(BOA)とJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの4行は第2四半期に、住宅ローン金利が約0.35ポイント上昇したことを受けてMSRの評価額を26%引き上げた。これらの契約をめぐる純収支は、ウェルズ・ファーゴの第2四半期利益に10億ドル余り寄与したほか、JPモルガンの1-3月(第1四半期)利益を10億ドル押し上げた。
 フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)によれば、第3四半期は住宅ローン金利が約0.26ポイント低下した。さらに、債権回収に要する費用は増えている。この結果、合わせて5兆9000億ドル余りの住宅ローンについてサービシング権利を持つ大手4行は評価損計上を強いられる公算だと、FBRキャピタル・マーケッツの銀行業界アナリスト、ポール・ミラー氏は指摘。「MSRの評価額は高過ぎるし、サービシングのコストは高まっている。これは懸念材料だ」と述べた。
 業界ニュースレターのインサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、大手4行はMSR市場の56%を握っている。サービサーは借り手から返済を受け、貸し手や住宅ローン証券保有者に支払いを行う業務で、料金を徴収する。債権についての記録や第三者預託(エスクロー)口座の管理、延滞者への連絡などの作業も行う。
 MSRの価値は主に、住宅ローンの残存期間によって決まる。サービサー契約は完済、繰上げ返済、またはデフォルト(債務不履行)によって終了する。金利が低下すると繰り上げ返済が増えるため、MSRの価値も下がる。銀行は金利スワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を使ってこのリスクをヘッジしている。評価損の有無はこのヘッジの水準に左右されることになる。
 米会計規則によれば、銀行はMSRを市場価格で評価し、簿価を下回った価格で売却すれば売却損を計上する。活発な取引はないため、実際の市場価格は分かりにくいとアナリストは指摘している。
 JPモルガンは14日に第3四半期決算を発表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト調査によれば、前四半期比で27%減益が予想される。15日に発表するシティグは25億ドルの赤字の見込み。16日発表のBOAは前期比95%減益が見込まれる。ウェルズ・ファーゴは21日に発表予定で純利益は前期比34%減の見込み。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=ai_qcjB4RHis

>資産規模で上位4行の米銀は、保有する住宅ローン債権回収(サービシング)契約(MSR)で550億ドル(約5兆円)の評価損が出る可能性がある。

 住宅ローン債権回収(サービシング)契約(MSR)って初めて聞く言葉ですね?

>サービサーは借り手から返済を受け、貸し手や住宅ローン証券保有者に支払いを行う業務で、料金を徴収する。債権についての記録や第三者預託(エスクロー)口座の管理、延滞者への連絡などの作業も行う。

 調べてみると、米国では小規模金融機関はサービシング業務を維持して手数料を得るよりも大手にサービシング権利を売却したほうが、業務効率が上がるため大手金融機関がMSRを多く保持しているようだ。まあこれは理解できますね。上記のような業務は、集約した方が良いからな。

>4行は第2四半期に、住宅ローン金利が約0.35ポイント上昇したことを受けてMSRの評価額を26%引き上げた。

 まず、この意味は住宅ローンの金利が上がれば、MSRの評価額が上がるのはわかりますね。それだけローンの返済額が増える訳だから。
 MSRは、資産計上しなければならない決まりがあるようなので、大手銀行の純収支に寄与したのか!

>第3四半期は住宅ローン金利が約0.26ポイント低下した。さらに、債権回収に要する費用は増えている。

 しかし、第3四半期は金利が低下したため、反対に評価損計上を強いられる公算なんだな。

 ちなみに、大手4行は合わせて5兆9000億ドル余りの住宅ローンについてサービシング権利を持っている。MSR市場の56%シェアなのだ。
 これは、巨額だな・・・

>MSRの価値は主に、住宅ローンの残存期間によって決まる。サービサー契約は完済、繰上げ返済、またはデフォルト(債務不履行)によって終了する。金利が低下すると繰り上げ返済が増えるため、MSRの価値も下がる。銀行は金利スワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を使ってこのリスクをヘッジしている。

 なるほど、金利が低下すれば繰り上げ返済が増えるため、MSRの価値も下がる。そこで銀行はこのリスクをヘッジしている訳か。

>米会計規則によれば、銀行はMSRを市場価格で評価し、簿価を下回った価格で売却すれば売却損を計上する。

 資産として計上されたMSRは、サービシング業務の提供期間にわたって毎期償却を行う。また、低価法により毎期の見直しが必要で、金利低下によって評価損を計上しなければならないらしい。
 まあ、イメージはわかるな。減価償却とは違い、毎期金利によって評価しなければならない訳だな。

 そこで、大手4行は大幅な減益が予想されるわけですね。納得!