他のブログで話題になっていた近江八幡市立医療センターPFI解除について、自分なりに考えてみたと思います。
PFI方式とは
公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法である。
制度概要
PFIは1992年にイギリスで生まれた行財政改革の手法であり、広義の民営化の一手段でもある。この手法を利用する目的は、
1. 官民が対等な立場で締結する事業契約によって契約内容に柔軟性を持たせ、民間の能力を最大限
に引き出すことでVFM(Value For Money)を生み出す
2. 市場原理の導入によるコスト削減によってVFMを生み出す
3. 事業提案の特殊性によって定性的・定量的なVFMを生み出す
4. 優先交渉権者との交渉により、よりニーズに合致した契約にすることで定性的なVFMを生み出す
の4つにあるといわれる。中でも今まで官が取ることが当然だと思われていた事業のリスクを民間事業者に移転し、それによって官のリスクコストを削減し(VFMを向上させ)、民間の利益を生み出すことによって官民がWin-Winの関係を構築することによって生まれるVFMがそのうち60%程度あるというイギリスの調査結果がある。
従来は、官が施設整備を行いその施設において公共サービスを提供するという考え方が当然であったため、官が公債を使って資金調達を行い施設を整備し、サービスを提供していた。そのため、施設を所有していた官が施設の不具合のリスクや大規模投資額の変動リスク、資産の残存価値リスク、そしてサービス提供のための人件費等を全て負担してきた。
PFIとはこのようなリスクを民間に移転するために民間に資金調達させ、施設を整備・所有させ、民間の雇用・給与体系によるサービスを提供することで民間の資金・能力を最大限活用する政策上の仕組である。そのため、原則として従来のように官が施設整備費を民間に支払う代わりに、官は施設提供サービス購入費を民間に支払う。また、民間によるサービスの提供など官は施設提供サービスだけでなく、施設に付随した清掃サービス、警備サービス、維持管理及び運営サービス等のサービスをひとまとめにして支払う(まとめた総額を「ユニタリーペイメント」または、「ユニタリーチャージ」と呼ぶ)ことによって施設の不具合リスク、大規模投資変動リスク、資産残存価値変動リスクだけでなく、サービスの品質低下リスク等も含めて包括的に事業関連リスクを民間に移転することが可能になる。
従来の公共リスクを民間に移転するために公共は公共サービスに必要不可欠な要求項目をアウトプット(結果)仕様で明確に示し、そのモニタリングの仕方と支払のメカニズムを連動させた事業の枠組みを設定し、民間事業者に具体的な民間資金調達手法、施設整備手法、サービスの提供手法、リスク管理方法、サービスのパフォーマンス測定(モニタリング)手法などを提案させる。
公共は要求する結果は示すが、その達成する方法や手段を民間に提示させる。このことは公共事業のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を民間事業者に一任することを意味する。民間事業者がBPRにより事業プロセスを見直し、民間のノウハウを利用したサービスの提供手段により、コストが大幅に縮減した場合にはそのまま民間事業者の利益となる(最も、イギリスでは事業開始後にリファイナンスによる大幅な資金調達コストが低下したり、事業プロセスの大幅な変更によるコスト縮減の場合は全てのその利益を民間事業者が享受するのではなく、公共が民間に支払うフィーを下げるなど官民双方がコスト縮減の利益を享受できる仕組みになっている)。
いずれにせよ、民間事業者による手法が従来の方法よりも効率的で効果的であった場合に付加価値が生まれる。この付加価値が民間資金調達による公債による資金調達よりもコスト高になるデメリットを上回る場合にVFM(バリューフォーマネー)と呼ばれるメリットとなり、民間資金を利用する合理的な根拠となる。原則として民間が提供するサービスの水準が契約どおりに達成できない場合には減額が行われ、ある一定以上にサービスの質が低下した場合には民間が投資した施設整備費の対価も支払われないことになる。
EUでは2004年に公共調達に関するEU指令が発動され、競争的対話方式という手法が採用されるようになった。すでにイギリスでは新しい公共調達手法が2006年1月末より導入されており従来利用していたアウトプット仕様書を公共が設定し、優先交渉権者を選定し、その優先交渉権者と契約内容について交渉する交渉方式は競争が働かない特殊な事業(たとえばR&D関連事業等)でなければ利用できないようになった。
競争的対話方式とは、大規模投資を行う事業においてなるべく民間のノウハウを効果的に利用するためにどのような仕様書にするかを事業者と入札を開始する前に打ち合わせする仕組みである。官民の双方にとってベストのアウトプットを設定するために、比較可能な複数の具体的な解決方法を前提として入札の前にアウトプットをどうするかについて対話を通して設定する仕組みである。大規模投資を伴うさまざまな解決方法がありうるため、仕様書の検討の段階から資金調達の可能性についての検討が必要とされる。その結果、従来の交渉方式よりも複雑になり民間が負担しなければならない事業検討コストが膨らむため、必ずしも英国が従来用いていた交渉方式よりも勝っているとはいえないという批判もある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/PFI
PFI方式については、数年前に勉強しましたがすっかり記憶から飛んでしまっていましたが、なんとなく思い出しました。当時から、私は好意的に考えていましたが、自分の企業にはあまり関わり合いが無いと思い、それ以後何も勉強していませんでした。
市とPFI近江八幡株式会社との交渉の結果、H18,10月開院予定で建物や医療機器などで総工費は68億5000万円ということのようですね。契約期間は30年間のようですね。
以後ソースはコチラ⇒http://www.gijiroku.net/city.omihachiman/
市側は、当初は1日に平均外来患者数1150名、入院患者326名で、医業収入が79億5040万、一般会計繰り入れによる医業外収入が8億2240万円、支出が医業支出が79億9500万円、支払利息等医業外支出が5億7200万円、特別損失が1億7550万円、収支は87億7280万円、前年比10.1%増の予算を組んだのですね。
医療センターでは、院外薬局にすることで薬剤費などの原価率が下がるはずなのにあまり下がっていないことが問題とされたわけですね。(平成18年度9月定例会)
ところが、薬剤購入に関してはPFI契約から除外されており、病院側が独自で調達すると、こういうスキームになっている?だから、事業者側は見直しすることはない。。。
ここは問題ですね・・・
病院側は、新病院移転後は減価償却費の増大で5~6年はかなり厳しいと言ってますね。そして、病院側は新病院は建物のほか、従来は病院みずから、あるいは直接外注していた設備保全管理とか清掃、警備、医療事務、診療材料薬品などの物品管理、病院給食等につきましてもPFI近江八幡株式会社が行うことになっていると認識していたようですね。
結局、原価管理の所在が不明なままでスタートしたような気がするぞ!
そして、いざスタートして3ヶ月経過後医師不足から、外来数、入院者数が前年に比べて落ちているようですね。(平成18年度12月定例会)さらに驚愕なのが、職員の給与体系についてこの段階でまだ組合と交渉中・・・
さらに、建物が建っているのに、医療収入が100億円以上でなければ収支上黒字化は無理であるということが議会でわかった訳ですね。事業管理者も認め、5~6年は100億円以上の収入にはかかると述べていますね。さらに、議会では従業員の給与体系を維持しながら、優秀な人材をそろえるべきだと言ってますね。
新病院を移転新築すれば、旧病院の処理に困る。解体は事業者側が市から10億円予算をもらう予定で検討中・・・しかし、市の財務課では4億程度しか予算をとっていない。事業者側は19年度中に解体処理に入るが、結局市側は残り6億が赤字ですか・・・
さらに病院側の事務長の発言がすご過ぎる。現在は定員(医師や看護師)が少ないため入院稼働率が少ないが、定員に達成すれば100%稼働できると言っていますね。そんなこと出来る訳ないじゃないですかね。病院は、入院患者と退院患者がいます。いつ入院患者や来るかわからないし、突発的なこと(死)でベットが空くわけですから、稼働率100%なんて無理でしょう・・・
さらに事業者側との契約では固定費として払う分が、維持管理にかかわる建物保守管理の部分と清掃業務並びに医療事務業務、消毒滅菌業務、最後にシステムの保守管理、運営費、変動費として献体検査、それから病院給食の業務並びに理念サプライの業務費、つまり契約上入院患者数が増えようが減ろうが、支払う金額は対して変わらないのですね。つまり、入院患者一人が増えると、その分検査費と食費とリネン(寝具など)の支払いが増えるだけで、経理上で言えば損益分岐点がかなり高いわけですね。
とりあえず、まとめてみると行政主導の下、新病院を建てることになり、その維持をPFI方式にしてPFI近江八幡株式会社と契約を結んだ。
その内容は、事業者の管理は、固定費として建物保守管理の部分と清掃業務並びに医療事務業務、消毒滅菌業務、最後にシステムの保守管理、運営費、変動費としては薬剤や医療材料などは病院側の支出となり、対してかからない変動費のみをうけ取るということですね。
以前にも、話しましたが病院側に経営責任を努めるだけの人材がいれば、このようなおかしな契約をせずに済んだのだと思います。
続きはコチラ⇒http://blogs.yahoo.co.jp/x_men_go_go/16804728.html