1ドル=1600ウォンになればKIKO損失3兆5千億ウォン

 ウォンが1ドル=1570ウォン台まで下がり、通貨価値の変動に備えた派生金融商品のKIKO(ノックイン・ノックアウト)に加入した中小企業の損失が拡大することが予想される。KIKOは構造上、ウォンが上がれば企業には利益となるが、反対にウォンが下がれば企業の損失となるように設計されている。
最近取引所とコスダックの上場企業は、昨年末基準の通貨派生商品による損失を続々と公示している。半導体部品メーカーのシムテックは先月25日、昨年第4四半期にKIKOなどの取引により113億ウォン(約7億円)の損失を出し、432億ウォンの評価損失を記録したと公示した。同社は、「売り上げの95%をドルで上げており、通貨価値の変動リスクを減らすために通貨オプション取引をしたが、予想もしなかったウォン下落で損失を出した」と明らかにした。同社は第4四半期に213億ウォンの営業利益を出しているが、KIKOの評価損失で資本金割れの状態に陥っている。
ポスコ鋼板は昨年第4四半期に34億ウォンの取引損失と210億ウォンの評価損失を出した。スサン重工業も第4四半期に41億ウォンの取引損失が出たと公示した。大企業も損失は避けられなかった。大宇(デウ)造船海洋は昨年第4四半期だけで通貨オプションと先物為替で971億ウォンの取引損失と評価損失を出した。昨年通年で損失は合わせて4772億ウォンに達する。昨年11月にKIKOと関連し5057億ウォンの損失を出したと明らかにしたテサンLCDは債権団共同管理(ワークアウト)の適用を受けている。
  問題はウォンが昨年末の1ドル=1259.9ウォンから300ウォン以上下がっていることだ。中小企業中央会国際通商室のキム・テファン部長は、「ウォンが1500ウォンならKIKOに加入した187の中小企業は3兆ウォンの損失が出る。ウォンが100ウォン下がれば5000億ウォンの損失が追加で発生する」と話す。昨年下半期からは世界経済の低迷により企業の売り上げが減っており、二重苦に直面しているというのが中央会の説明だ。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=112053&servcode=300§code=300


<br> まずKIKOについて勉強しなければ、この記事が何を意味しているのかわかりません。調べましょう♪<br><br>

 KIKOとは「Knock In」、「Knock Out」の略で、通貨オプションの一種です。通貨オプションは、日本語でいうと「選択権付き通貨先物予約取引」となります。これは、あらかじめ日にちと価格(権利行使価格)を設定しておき、その日になったら、相場とは関係なく設定した価格で売買を行うといったもの。この通貨を「買う」権利を「コール」、「売る」権利を「プット」と呼びます。例えば、ドルコールとした場合、1ヶ月後に1ドル110円で10万ドル分、と設定しておき、その日が来たら、その価格で10万ドル分のドルを購入することになります。<br>

プレミアムを支払う

 通貨オプションを設定する際、通常のレートに加えてオプション料金となる「プレミアム」が上乗せされます。プレミアムは、買い手側が売り手側に支払いをします。オプションは選択権ですので、オプションの買い手側は、この権利を取引に行使してもしなくても良いのです。また、買い手側に取って不利だと判断した場合、取引を放棄することも可能です。これによって、買い手側のコストは「支払ったプレミアム以内」となり、受けられる利益は「無限大」となります。反対に、売り手側が得られる利益は「買い手側が支払うプレミアム以内」であり、受ける損失は「無限大(プットオプションの場合は、権利行使価格まで)」となります。

http://www.drh.jp/option.html


 今回の件では韓国企業の多くが、市場で1ドルを設定した価格より高く取り扱っていれば相場より高くドルを売ることができますが、設定した価格を超えたなら相場より安い値段でドルを売らなければならないという形でKIKOを使用していたようですね。つまり企業が設定した価格が1ドル=1500ウォン以下なので、これを突破した現在は100ウォン下がれば5000億ウォンの損失がでるということですね。韓国は輸出産業が非常に多く、輸出産業はウォンの価値が下がると相手企業との契約内容(ドル表記の価格)は変わらないのに、ドルを買うためにより多くのお金が必要になるので本来より利益が大幅に減ってしまう。利益の減り幅が大きすぎるとその影響が不渡りがでるということです。

 こわいですね。そして、このKIKOは下記のように個人にも波及していたようですね。しかし、あくまでも投資ですので、リスクをともなうということをパクさんも知らなければいけませんね。個人の場合は、訴訟起こして、KIKOオプションを無効にするみたいな記事を以前に見ましたが。<br>

<米金融危機>「元金心配するなと言われたのに…」

パク某さん(68、女)は夫と死別した後、05年12月当時まで貯めていた1億5000万ウォンをウリ銀行の金融商品「ウリパワーインカム」の2号ファンドに投資した。担当職員からは6年間6%台の固定利子を保障すると言われた。この職員は「元金の損失が発生する可能性は韓国がモラトリアム(支払猶予)状態に陥る確率ほど低い」と安心させた。パクさんには3カ月ごとに205万ウォン(約20万円)ずつの固定利子が振り込まれた。ところが先月25日、ウリ銀行から手紙が届いた。「現在、元金の8割が損失し、満期到来の際には元金損失の可能性が高いので、買い戻しを検討するように」という内容だった。パクさんは銀行に駆けつけ、担当者に会った。しかし「被害が出ないようにするから心配するな」という言葉を聞かされただけだった。パクさんは「手足が震え、ベンチに座り1時間も泣いた。子供たちに知られるのが何より怖い」と落ち込んだ。投資した資金は「住宅購入費の不足分を補ってほしい」という子女にまで隠していたお金だった。パクさんは顔がまひする症状を起こし、現在、病院で治療を受けている。
パクさんをはじめおよそ40人の投資家が19日、元金の保障を求めてウリ銀行本店(ソウル中区会賢2街)を訪問、抗議した。彼らは頭取との面談を求めた。銀行側は入口を封鎖し、対立している。米国の金融危機に影響された不安定なファンドが急増する中、被害を受けた投資家が集団行動に出たのは今回が初めてだ。ウリパワーインカム1号と2号は、米政府系住宅金融機関(GSE)のファニーメイとフレディ・マックなど、サブプライムローン(信用度の低い借りて向け住宅ローン)による被害を直接受けた米金融各社に投資しているために、現在、それぞれ40%、80%台の損失を受けた。投資家はおよそ2200人、損失金額は約1400億ウォン(約140億円)にのぼる。投資家は「銀行側が、元金が保障される商品であるかのように見せかけためにファンドに加入した」と主張している。同ファンドの広報物には「元金は、ファンドに投資された場外デリバティブ(金融派生商品)の収益システムにより損失する可能性があるものの、米格付け会社ムーディーズが、国家格付け見通しと同じA3を付与しており、韓国の国債が不渡りになる確率に類似なレベルの安全性を持っている」と記されている。
ウリ銀行の李承瑞(イ・スンソ)PB(プライベート・バンキング)事業団長は「残念に思い、道義的な責任を痛感している」としながらも「法律的に判断するほかなく、訴訟を通じた公正な判決で解決するのが最善だ」と話している。銀行関係者は「加入当時までも同ファンドの安全性を疑わなかった」としている。法務法人「ハンヌリ」は投資家を原告とし、銀行側との民事訴訟を準備中だ。監査院と金融監督院も、銀行側が投資家に「同商品を定期預金と誤認させていた可能性」について調べている。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=104985&servcode=300

 まあ何にしても、かの国は利益しか考えず、リスクや借金の利子というものはあまり深く考えないのでしょう。<br>