先祖伝来の垢薬☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

水野勝成は、豪放磊落で細かいことを気にしない人物だったので、
父の勘気を受けて四方を放浪した。
 

西国を彷徨った時、道に迷って宿を求めたが、宿賃がなかった。
如何ともすることができず、しきりに案じ、
寝てもなかなか眠れず、思案していると、
その家の子供が急に煩いだして、しきりに泣くのを聞いた。
 

勝成はこれはチャンスとばかりに、早速全身の垢を捻って丸薬にした。
そして宿の亭主を呼んで言うには、
「この子の泣きようはどうもただ事ではない!

拙者の鑑定では虫気と存ずる。
幸い我が家伝来の妙薬を所持しているから、これを差し上げよう!」
亭主は、殊の外喜んで、垢丸薬とは気づかず、早速子供に飲ませた。

すると不思議と子供が泣き止んだのである。
 

亭主夫婦は非常に喜び、厚く礼を述べて感謝した。
その翌日、勝成は亭主に向かって、
「拙者、路銀を使い果たして少しも所持していないので、
誠に申し訳ないが追って返済するので、それまでの宿賃を待って下され。」

と言った。
 

亭主は、
「いやもうその儀には及びませぬ。
そんなに御不自由ならば逆にこっちがお礼をしませんと。」
と言って、たくさんの鳥目(円形方孔で、鳥の目に似ている古銭)を贈った。
 

勝成は喜び勇んで立ち去ったのであった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 倫魁不羈、水野勝成

 

 

 

ごきげんよう!