尼子義久は、伯耆国をも手に入れて、大身であったが、
その気がすわらない人なので、物事にとらわれやすかった。
毛利元就が口寄せの市子と申す者に金銀をとらせて、
「尼子の家は先祖の祟り、外からの恨みもあるので、久しくは無いだろう。」
等と色々誠らしい事を作って、凶を告げさせた。
すると、尼子は気にかけて甚だくじけてしまい、その弱みを突かれて遂に亡んでしまった。
物事の道理をよく考え、迷ってはならない。
巫女山伏に神が乗りうつられるという事は、合点のいかぬ事である。
合点のいかぬ事に、悩まされるのも、なお合点がいかない。
とにかく手前に無理がなければ、外よりよこしまな事があろうことはない。
道理を尽くしても悪事となって邪な事が来ても、
天命であるとして是非はないと思え。
自分の弱みを突かれ気が虚けていたら、たぶらかされる事は必定である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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