上月の役の時、織田信長は自ら出陣しようとして、
手始めに子の信忠らを派兵し、羽柴秀吉を助けようとした。
この時、吉川元長は、父の元春に、
「信長自身が出馬すれば、数も多く統率のとれた軍隊を相手にしなければなりません。
いま羽柴秀吉や荒木村重らは、功を争って協調できていないと聞いています。
幸い、雨が降り月も暗い。ここは夜討ちを仕掛けましょう。」
と言った。
元春も、
「お前の言う通りだ。」
と同意し、小早川隆景と相談した。
ところが隆景は、
「そのような危うき戦は大事の前の小事である。」
と反対した。
元長はそれでも食い下がったが、やはり隆景は耳を貸さないので、
悔しさに歯をくいしばりながらも、とうとう諦めたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!