安藤重長は、何かを察して☆ | げむおた街道をゆく

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ある日、安藤直次が、同じ苗字の安藤重長のところへ、

「今晩そちらへ参って、料理を賜りたい。」

と申し伝えた。

 

重長は、

「これは珍しいことだ。何を思はれて申し越されたのだろう。」

と殊の外喜んで直次を饗応した。

直次は機嫌良く料理を賜り、緩々と話して帰っていった。
 

その後、重長は刀が残されているのを見つけ、

「うっかりお忘れになったのか。」
と思い、近習に命じて直次の乗物を追わせた。

乗物に追いついた近習は側に寄って、

「御腰物でございます。」

と申し上げた。
 

すると直次は乗物の戸を開けて中より刀を取り出し、

「武士が、刀を忘れるわけないだろう。」

と言って刀を見せると、戸をひしと閉じて帰っていった。

仰天した近習が重長にしかじかと報告すると、重長は何かを察して涙を流した。

「さては今度在所へ帰国される時に隠居なさるおつもりであるぞ。
その刀はそれがしに形見として賜わるということに違いない。」

重長の思った通り、直次は、その月すぐに紀州へ帰り、その年のうちに隠居した。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 紀州藩附家老、安藤直次

 

 

 

ごきげんよう!