承応から万治年間(1652-1659)にかけて、
長崎奉行を勤めた甲斐庄正述の妻は、松平信綱の従姉妹(姪とも)であった。
そんな関係で、信綱と正述は親しかったので、
二人はよく会っていたのだが、ある日の信綱邸での饗応で正述はふと思った。
「今出てきた芹焼き(芹を酢に煎じたもの)は、
焼いていないのに『焼き』というのはおかしくないか?
『芹煎』とか言うべきだろう。」
それを聞いた信綱、
「焼いていないものを『焼き』というのが不審と言うが、
あなた自身にもそんな不審なものがあるではないか。」
「??」
「あなたの頭の月代(さかやき)は、誰が焼いているのですか?」
ここで正述、
「なるほど、自分にも焼かないのに焼くというところがあるのに、
そこには思いが至りませんでした。」
と納得。一同大笑い。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!