徳川家康が、本多忠勝等と共に、二股城を攻めに行った時のこと。
徳川十六神将の一人内藤正成は、足が痛む為に、留守番として浜松城を守っていた。
ところが城を出た家康等は、夜中に激しい風雨に見まわれ、
引き返さざるを得なくなった。
そのため本多忠勝が、使いとして城に先に戻り、
「殿が帰城するので、速やかに開門するように。」
と言ったのたのだが、
城内の正成に、城門を開ける様子は全くない。
忠勝が、城門をドンドン叩き、
「殿が帰ってきます! 早く門を開けてください!」
と叫ぶものの、内藤は、これを完全に黙殺。
やがて内藤は櫓に登ると、門前の忠勝に、こう怒鳴った。
「こんな夜中に殿が帰ってきたなどと嘘をついているのは誰だ、騒がしい。
そこを退かねば撃ち殺すぞ。」
そう言って、忠勝に銃口を向ける始末。
このままじゃ殺られると慌てる忠勝。
そこに家康が追いつき、
「家康本人だ、入れてくれ。」
と言うが、
「声は似てるが、本当に殿か?」
と疑い、中々信じてくれない。
結局、家康の顔を照らしてしっかり目視で確認し、ようやく城門は開いたのだった。
この正成の用心深さを、家康は、
「お前のような頑固な人間が留守を守ってくれるなら、
敵がどんな策を使ってきても、やすやすと城には入れないだろうから、
安心して外に出られる。」
と褒め称えたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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