天下のご意見番として、存分に暴言を吐いてきた彦左衛門も、
ついに80歳にして、死の床につくことになった。
そこに家光からの上使が訪れる。
「なんじに5000石の加増を賜い、1万石に取り立てて進ぜよう。」
彦左衛門もとは2000石じゃなかったっけと突っ込みを入れたいところではあるが、
いずれにせよありがたい話である。
しかし、彦左衛門これを拝辞。
「公方様のありがたいお志ではありますが、もはや余命いくばくもなく、
1万石にふさわしい働きをすることができませぬ。」
いままであれだけ主従ともどもいやみ・つっこみを受けながら、
加増までしようとする家光の心が広い話。
あるいは、加増の話がありながら、
自分にふさわしくないと辞退する彦左衛門の謙虚・無欲な話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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