越前の大名・松平忠直は、残虐な趣向が好きであった。
彼には妊婦を臼の中に放り込み、杵でついて殺した、などという不気味な逸話もある。
そんな忠直がある時、寵愛する側室と共に家臣の屋敷に御成をすることとなった。
これに側室が甘えた声で言う。
「ただ普通に御成りをするのはつまりませぬ。」
「ほう?お前に何か考えでもあるのか?」
「ええ一つとびきり面白い事を思いつきました。
殿様もお喜びになると思います。
どうぞ今回の御成の趣向、私にお任せください。」
御成の日。
その家臣の屋敷には、入り口から屋内までぎっちりと、無数の罪人の首が並べられていた。
そのあまりの不気味な光景に、屋敷の者たちも、付き従った家臣たちも、
皆、恐れ怯え、蒼白な顔をしていたが、忠直とこの側室だけは、
大変面白がり、終始上機嫌で、愉快に、この御成を過ごしたのだという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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