近く合戦を控えた、甲斐武田家でのこと。
「おいそこのオマエ! 何回言えばわかるんだ!
合戦でそんな動きをしてみろ!
オマエが死ぬだけならいいが味方の足を引っ張ることになるんだぞ!
この大うつけがっ!」
この怒声を部下にぶつけるのは、
人格者、まことの武士として名高い武田信繁である。
普段は、部下どころか領民たちにも、その人柄を慕われていた信繁だが、
なぜか合戦が近づくと横暴な態度で部下に接するのだ。
ある時、不思議に思った者が、その理由を信繁に問うと、
「合戦が近い時には部下に横暴な態度を取って、その不満を敵にぶつけさせているんだよ。」
相手の大将を恐れるより、
仲間である自分の大将を恐れるような軍隊は強いという話もあるが、
信繁もそんなことを考えていたのかもしれない。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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