関ヶ原の決戦の後のこと。
福島正則と黒田長政は、南宮山より撤退した毛利秀元が、
大阪城に入らないようにするため、間道を通って秀元の軍の先に回り、
道の側に座を設け、秀元に使者を立てた。
『申し入れたい事があります。是非こちらに、お立ち寄りください。』
秀元、これを受け入れその場に姿を現すと、
正則と長政はしきりに酒を勧めた。
これは、こうして時間を稼ぎ後から来る吉川広家、宍戸元続らを待って、
これらと共に秀元を説得しよう、と言う腹であった。
ところで、毛利秀元は大力の者として、当時有名であったそうだ。
秀元、酒を勧められるうち、流石に正則たちの腹が読めた。
そこで、
「いやいや福島殿、少々酔ってしまいました。」
と、福島正則の手を、ギュウと握った。
とたん、
『・・・!』
正則、余りの痛さに声も出せずにうずくまった。
ここで秀元、
「おやおや、福島殿も酔われたか。では、大阪にて対面いたしましょう!」
と、正則をどかして颯爽と退出。
この時、正則は手がしびれて、追いかける事も出来なかったそうである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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