奇矯な歓待☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

慶次が、米沢の外れの堂森に住んだ時の話。
 

安田ら数人の友人が慶次に呼ばれて堂森へ来ると、

遠くから石つぶてが飛んできた。

何事かと見ると慶次である。
「諸君をもてなそうと、鳥を捕まえようとしている。

捕まえたら戻るので、諸君は私の草庵に先にあがって休息するといい。」
 

一同は、「また慶次のいたずらか。」と笑って草庵へ向かった。
 

ところが、草庵には全くもてなしの準備がされていない。
しばらく待っても慶次は戻らない。

 

一同は、
「また慶次にだまされた。こんなとこにいても時間の無駄だ。」
と憤慨して、草庵を出た。

 

城下へ戻る途中、慶次に出くわした。
 

慶次は平然として、

「待ちくたびれたのか。それは気の毒だ。」

と、へらへらしてる。

「鳥も全然こないし、君たちの不興も買ってしまった。

どうしようか・・とりあえず戻ろう。」

と、一同に草庵へ戻るよう促した。
 

一同は、ここまで来て何もしないよりはましか―と慶次にしたがった。

慶次は遠回りの道で草庵へ向かった。

 

すると、行く先で酒宴をしている輩がいる。

見ると、女たちが物見遊山をしていた。
 

慶次はこれを怒鳴りつけた、

「誰の許可でここで酒宴をしてるんだ!」
その怒鳴り声に、女たちはあわてて逃げだした。
 

慶次はまた平然として、

「これは草庵で出そうと思っていたのより
上ものだ。ここで飲み食いしよう。」

と言い放った。
 

安田たちも腹をすかせていたので、すぐさま酒肴に飛びついた。
実はこれはすべて慶次の用意したもの。

普通のもてなしではつまらないからと、趣向を凝らしたのだった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 花の慶次・前田利益、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!