玄録法印という有名な占い師があり、良く当たると人々の信仰を集めていた。
慶次、
「それなら俺も占ってもらおう。」
慶次はわざと低い身なりの者の着物を着ると玄録を訪ね占いを頼んだ。
慶次、
「それがしには子どもがいるのですが、嫡男は昨年病に倒れ、薬もまったく効きません。
次男は主人に逆らい、知行を没収され蟄居の身です。
末の娘は家出をし、居場所がようとして知れません。
私はどうしたら良いのでしょう?」
玄録はしばらく時間を置くと、
「山林の神を怒らせる様な事をしませんでしたか?
山林の神に謝罪しこれを信奉しなさい。
嫡男の事はまずは名医に当たりなさい。
次男もすぐに赦されるでしょう。
娘は百日後くらいに見つかるでしょう。
命に別状はないからそちらは大丈夫でしょう。」
と答えた。
慶次はそれを聞くと、
「山林の神の怒りはともかく、実は私にはまだ子供がいないんだ。」
玄録、「!」
慶次、
「お前を試したんだが、とんだ食わせ者だったようだ。」
と大笑いした。
玄録はすっかり面目を失い、慶次に言い返す事ができなかったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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