すわ、例の音頭が出たぞ!懸かれ!☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

戸次道雪は、若いころ雷にあたったため、歩行することが出来なかった。
そのため常に手輿に乗り、二尺七寸ばかりの高田打の刀、

種子島の鉄砲一挺、三尺ばかりの手棒に腕貫をつけて、
いつも手奥に入れていた。

また長刀だけを持った若侍を、定衆と名付け、これを100人、徒歩にて召し連れていた。

合戦が始まると、道雪はこの定衆に手輿を担がせ、

敵との距離が近くなれば、手棒にて乗り物の縁を叩き、

自身で、
「えいとう!えいとう!」
と声高に音頭を取った。

 

この拍子に合わせて、
「輿を担ぎ、あの敵の真ん中に担ぎ入れて、そこに捨てよ!」
と、いきり立った。

 

手棒の拍子より少し遅いと思えば後先の担ぎ手を手棒にて打ち、

打たれたものは敵の面前で、
逃げたかのように互いに笑われたので、

彼らは面も振らずに輿を担ぎ入れた。

輿を担がないものは、長刀を抜き先に進んで攻めかかった。
先手の者たちは道雪の拍子が聞こえてくると、

「すわ、例の音頭が出たぞ!懸かれ!」

と、優れた勇士たちが斬りかかるので、いかなる堅陣と言えども、駆け破られない、

ということはなかった。

しかし戦の習い、道雪の戦において先手が追い立てられることも度々あった。

それでも旗本が堅く踏みとどまるため
幾度も追い返し、最後に勝利したという。

 

この様であったので、道雪の家来には合戦のたびに、

今日は幾度も槍を突いた、と言うものが大変に多かった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 雷切り・立花道雪、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!