吉田郡山城の戦いの時。大内・毛利氏と、尼子氏の戦い。
あくる正月13日、卯の刻に、城中の勢3千余騎を城外に備えられる。
自身(毛利元就)は床几に腰掛け、敵軍を検見しておられた。
陶(晴賢)の郎等、末富志摩守は戦場見合のために打ち廻ったが、
吉田勢が早くも出たと見て急ぎ(大内軍へ)走り帰った。
元就の二男元春は、今年12歳になり給うが、
今日の戦場に供奉せんと走り出なさった。
元就は井上河内守(元兼)に、
「次郎を連れて帰れ。」
と仰せられ、(井上は)抱き奉って内へ入った。
元春は大いに怒り、太刀に手をかけすでに抜き打ちにせんとなさるので、
(井上は)力無く逃げ隠れた。
その隙に走り出て、
「ぜひ御供させてください!御許しくだされ!」
と、宣うので元就はにっこりと打ち笑い、
「それでは連れて行こう。」
と宣って、共に打ち連れて出なさった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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