【前回までのあらすじ】
12年前、私は大学受験の予備校の生徒募集の仕事をしていた。
リストを一件一件軒並みで電話しまくり、「結構です。」嵐の中、見学にきた高校生の生徒と親御さん見学にお誘いし、入塾まで導く仕事。
人種が様々な職場。その筋の方。もとヤンキー。元いじめられっ子。体重100キロを超える精神疾患を抱える女性・元キャビンアテンダントの女性等…
職場では、怒声・恫喝・喧嘩・男性女性の別なく平等にパワハラが日常茶飯事。
「弱い人」代表選手の私は、入社三カ月目で、社内40人の営業マンの中で上位3位、1年3カ月後にはNO.1セールスマンになる。
心の師・佐藤康行先生の「無敵の人」という真意「敵がいない。全員味方。みんな大好き。」を実践した結果。
今までの営業のやり方を全部捨てて、この会社の営業のやり方に完全に従った。「郷に入らば郷に従え」「守・破・離」の「守」に完全に徹した。
私が理想とする「お客様中心」の営業とは真逆だったが、そのやり方に徹すると成果は上がっていった。
マネージャー達に認められ理不尽に怒鳴られることなく親切なアドバイスを頂け、ボスの営業部長から「俺はお前を180%認める」とまで言われ、非常に快適な職場に変わった。
入社して1年2カ月、会社内の異動で、私はIさんのグループに配属になった。
Iさんは元暴走族の副総長(笑)。腕っぷしには自信がある。後輩に対して「お前ボコボコにするぞ」とよく恫喝していた。
年長の元超有名なその筋の組織の幹部を務めていたEさんも一目置く。喧嘩レベルでは実質ボスだった。
当時、既に私は40人中3位。新しいグループでさらにやってやるぞと燃えに燃えていた。
しかし、困ったことが起きた。Iさん。全く仕事をしない。(笑)
電話営業の仕事なのに「電話タイム」中もスマホでゲームをひたすらやっている。
社員には怒鳴る他のマネージャーも腕っぷしでかなわない彼には何も言えない。
私は、働き始めて、初めて腕っぷしの力関係で物事が成り立っていく世界に身を置いたのだと感じる。
そこで私は一計を案じた。彼に美点発見をすることにした。
美点発見とは「その人の「事実として」素晴らしい点を発見すること。」です。
大事なポイントは、おべっかやお世辞ではない・褒めるのとも違うということです。事相手への尊敬と敬愛の意を込めて、事実として素晴らしいと感じた点を発見するのです。そして発見した美点を本人に伝えるのです。
欠点だらけだと自分が思う人でも、本気で美点を探すと沢山あるのです。同じ人間です。同じ人なのです。必ずあります。それを発見するのです。
私は、まず秘かに彼の美点を発見することに努めました。
すると一杯あるあるIさんの美点・・・・。
・笑顔が可愛らしい
・職場で什器や備品を動かすときは先頭に立ってやってくれる。
・私には色々な営業トーク集を惜しみなく渡してくれた。
・自分はまだ経験が浅く、見学に呼んだ親子をセールスする実力がないので、彼が喜んで私に成り代わってセールスしてくれる。
・とても正義感が強い。元有名その筋の幹部社員が、70歳を超える高齢の女性に怒鳴っていた時、場所を変えて彼を呼び出し、一言「Sさんを恫喝するなら俺が許さねえぞ」と一喝その女性を守っていた。弱いものを守るという優しさがある。
・人間関係で理不尽なことを嫌う。誠実な人・・・
なんと・・・(笑)!!
電話をしないで仕事をさぼっていること以外は、凄くいい人だったのです。
私は、ことあるごとに自然な会話の中で彼の美点を彼に伝えていきました。
伝えるにあたっては、佐藤康行先生にある方法を教わっていたのでその方法を使いました。
その方法とは、(以下、全部同じ意味です。)
・言いにくいことを相手を喜ばしながら伝える。
・愛と言うオブラートに包んで言いにくいことを伝える。
・言いにくい言葉にリボンをつけてプレゼントする。
私の言いにくい事とは、「Iさん、電話タイムは電話以外のことはしてはいけないから電話をしてください。」ということです。
皆さんなら、どういう言葉で彼に私の気持ちをお伝えされますか?
もしよかったらコメント欄で教えてください。
続きます。
ありがとうございました。