アニポン第1話です。絵と文章、未熟なところはありますがお楽しみ頂ければと思います。

その昔、邪神に取り憑かれた男がいた
男は世界を破滅に導こうと企み、悪の限りを尽くした。
人々が絶望に陥る中、一人の勇気ある青年が現れた。
『世界を救えるほどの力が欲しい』
そう願う青年。
すると天から12人の精霊と女神が現れた。
自然を司る12の精霊と天を司る女神は、その願いを聞き入れ青年とその相棒である獣に力を与えた。

13の力をその身に宿した青年と
体を武器に変化させる力を与えられた獣。
青年と獣は男の元へ向かい、死闘を繰り広げた。
男に取り憑いた邪神は消滅した。
しかし青年と獣、男は命を失ってしまった。
青年と獣に与えられた12人の精霊の力は光となって世界中に散らばり
青年に翼を与えた女神の力は天へと帰って行った。
精霊の力を宿し、体を武器に変化させることができる動物を『アニポン』、それを扱う人間を『使い手』と人々は呼ぶようになり、初代『アニポン』、『使い手』である青年と獣の魂を女神と精霊が作った祠に祀った。
その祠は後に『願いの祠』と呼ばれ、『10年に一度出現する祠にアニポンと使い手の中に宿る精霊の力“光源”(エネルギー)を100集めて訪れると、どんな願いも一つだけ叶えることができる』と言い伝えられた。

「…おしまい。この物語があったからこそ、今のオレ達(人間)やアニポンがあるんだぞ」
「父さんそれ何回も聞いたよー」
「うっ…俺が大好きな話だから何度も読んじまうけどさすがに飽きたよな…」
「でもオレもこの話、好き悲しい物語だけどね…オレがこの物語の主人公だったらどうすれば誰も犠牲にせず世界を救えたかなって時々考えるんだ」
「…テツ………じゃあこれから作っていこう!テツの“物語"を!!」
「オレの…物語…?」
「テツ、お前は優しい。優しすぎるぐらいに。まるでこの物語の主人公、『クレス』のようだ。だから…『クレス』のように強く、優しく、みんなに愛される人になれ。たくさんの人との出会いや別れを経験して、成長していくんだ。その中で…」
「『自分の叶えたいことを見つける』なんてどうだ?」
「叶えたいこと…か。…父さんは願いの祠で願いを叶えたことがあるの?」
「…秘密!」

――5年後――
オレはテツ!ホープフル学園2年生!
ホープフル学園ってのは『使い手』と『アニポン』が集まって、属性や武器についての勉強をする学校だ。
今は春休みだけど…。
あれから5年。
ついにその時がきた。
今年は10年に一度訪れる、『願いの祠』が出現する年だ。光源(エネルギー)集めには数々の危険が伴う。それでも、色んなことを経験して、オレは自分の叶えたいことを見つけたい!
15歳になった今日、その第一歩を今、踏み出すんだ!

「おはよう!」
「おお!おはよう。」
「おはよう。」
「そして…誕生日おめでとう。テツ。」
「ありがとう、父さん。」
「もう15歳なのね…立派になったわ。」
「オレ、今日から光源集めを始めて、自分の願い事を見つけようと思うんだ。」
「そうか…今年は願いの祠が出現する年だからな。」
「頑張ってね。」
「この日を待ってたニャー!テツー!」
「ルリ!」

こいつはルリ!オレのアニポン…相棒だ!
「光源集めは決して簡単じゃないニャ。テツは本当に大丈夫かニャ?」
「大丈夫だって!」

「それじゃテツ。」
「まずは今までの授業を軽くおさらいするニャ。」
「わかってるって!」
「念のためニャ。テツは忘れっぽいから。」
「まず、ボクたちアニポンはテツたち使い手の武器となり、サポートする使命が与えられているニャ。」
「そして使い手やアニポンの体内に宿る戦う力の源…それが“光源”(エネルギー)ニャ。」
「光源には炎、水、草、雷、風、地、氷、光、闇、星、月、陽、天の13種類の属性が存在するニャ。この属性が同じ使い手とアニポンが“契約”することができ、初めてその能力を使うことができるニャ。」
「“契約”を行ったアニポンはただの武器よりもずっと強力な力を得ることができるニャ。でも光源を失えば当然力も失い、アニポンはただの武器に、使い手は願いを叶える権利を失ってしまうニャ。」
「むむ…」
「光源集めはボクたちのように“契約”したアニポンと使い手同士がお互いの光源を賭けて戦うこと。願いを叶えるには100の光源が必要になるから、つまり100人と戦うのニャ。」
「光源を失ったらそこで終わり。負けられない戦いだな。」
「そうニャ。気を引き締めるニャ。」
「…そういえばなんでオレ達春休みなのに光源集めしてるんだ?いいのか?」
「…やっぱりもう忘れてるニャ……。」
「ボクたちの班は3年生への進級試験で成績優秀だったから、通常は3年生になってからのところを特例として春休みから光源集めを許可されたのニャ。ヴィルたちが頑張ってくれたおかげニャ。」
「なるほどな~」
「…ん?」
「どうしたニャ?テツ。」
「女の子が泣いてる…」
「う…うぅっ…。」
「ちょっと見に行ってくるな。」
「気をつけてニャ。」
「どうしたんだ?」
「お母さんとはぐれて…迷子になっちゃったの…」
「そっか。じゃあ一緒に探そうぜ?」
「いいの…?」
「ありがとうお兄ちゃん…!」
「(短剣!?まさか…)」
「テツ!!危ない!!」
「だから気をつけてって言ったニャ…」
「ルリ!ごめん…」
「ご苦労様。キラードール。」
「申し訳ありません。マスター。」
「(マスター…誰だ?)」
「私はラミール。この子はアニポンのテディよ。」
「『操りのラミール』…!」
「操りの…ラミール…?」
「人形を操り人を騙す悪人ニャ!いきなりまずい相手とぶつかったニャ……。」
「行くぞ!!ルリ!! 」
「ニャ!!」

初めての実戦…
絶対に勝つ!!
「『操りのラミール』…やっと出てきたわね。」
「でもなんか邪魔なのが入ったッチュよ?」
「別にいいわ。あの子達がラミールにダメージを与えてからあたし達で仕留める。」
「…逃がさないわ。あたしの標的(ターゲット)。」


第2話へ続く