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   正月特番を見なくなって数年経ちますが今年、唯一見たのが浜田雅功の芸能

  人格付けチェックでした。録画して後日見ましたが始まりから約4~50分は予

   告編のようなものでしたのでそこは飛ばして本編?を。堪能しました。

 

  8日にシネマ枠でなくnhkbsで『生きる』が放映されました。何度みても素晴ら

   しい。病院の待合室のシーンでまるで芥川龍之介?のような患者が口の周り

  が白い(おそらくバリウムの検査後か)まま水を飲む。主人公の渡辺勘治(志村喬

   )が先んじて水道水を口にするが細い鎖でつながれたアルミのカップ、1952

  年(昭和26年)以降、暫くは小中学校でもアルミ製のカップがあったが姿を消し

   たのはいつだったか。なぜか懐かしいですね。

 

  芥川みたいな患者が呼ばれ診察室に移動するのを見て、待合所の詮索好き、話

   好きでお節介な渡辺篤演じる患者が渡辺勘治に話掛けます。

   「彼はね、医者から胃潰瘍と言われているが私の見るところ、胃がん、その  

    ものズバリ、胃がんといえば死刑の宣告と同じですからなぁ」そして、

   「医者が言うには、食事は不消化なもの以外だったら何を召し上がってもい  

    いという」さらに無神経な男は胃がんの症状を勘治に詳しく述べる。

  すべてが当てはまる渡辺勘治には話を聞きたくないと席を移動するが男は尚も

   話そうとするが勘治の様子に気がつき黙るのである。

 

  閑散とした待合所でやっと勘治の番がきた。分厚いオーバーを手に診察室に入

   るせつな医者の一声「軽い胃潰瘍ですね」オーバーが足元に落ちる。

  椅子にかけた勘治が「本当のことを仰ってください、胃がんだと」清水将夫演

   じる医者は否定する。食事は?と聞く勘治に「不消化なもの以外何を食べて

   もいいでしょう」。

  患者が去ると若い医者(木村功)が余命は?それに答えて「半年」という。

 

  当時ガン検診などない時代、死刑に等しい宣告は殆どの医者は言わなかったと

   思われる。その流れは1985年ごろまで続いた、死を知らせることは残酷であ

  るとのことから「病を克服しましょう」といい、告知は医者の裁量の範囲内と

   されたが2002年、医師は患者家族への告知を検討する義務があると最高裁で

  示されたのである。

 

   もし自分が医師だったら、家族の有無を聞き治療に関して息子さんに方針を

  示すのでご家族とご来院くださいというと思います。どちらにしても残酷な宣

   告に違いないのですから。

 

  待合所の患者を演じた渡辺篤は『七人の侍』では饅頭屋を演じセリフは「鳥目

   になるぜ」でした。なお建物探訪の渡辺篤史さんとは赤の他人とのこと。

 

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