今日はこどもの日。


この話は…

ほとんど人にした事はありません。



数年前の事。

知り合いのお子さんの、

お見舞いで小児病棟へ行った時の事。

そのお子さんは大きな病気ではなく、

退院間近でした。


病室へ向かう途中で見かけた

小学校低学年の男の子は、

ニット帽を被って、

車椅子に乗っていました。

その車椅子を少し年上の、

お兄ちゃんが押してあげています。

そのお兄ちゃんも、

帽子を被っていました。

お兄ちゃんといっても、

おそらく兄弟ではなく、

同じ病棟の年上の子のようでした。

ニット帽の様子から…

薬による副作用で、

髪が抜けてしまったのかな?

そんな想像をしました。

近くの病室に目をやると、

千羽鶴がありました。

それは大きな病と闘っている証明でした。

胸が締め付けられる気持ちでいると、


「お願いやめて!助けて!!」


子供の絶叫が病棟内に響きました。


「嫌だやめて!お願い助けてぇ!!やめて!やめてぇ!!」


子供の絶叫はしばらく続きました。

おそらく子供にとって、

想像を絶する苦しい投薬などの、

医療行為をしているようでした。


しばらくの間、絶叫は続きました。


あの子供の絶叫が…

今も耳にはっきり残っています。


あれから数年。

あの病棟の子供達が、

全員元気になったと信じたい。

しかし…現実は残酷である事も、

痛いほど理解しています。


毎日のように悲しいニュースが、

流れています。

都会の人が慣れるほど。

そんなニュースを、

あの子供達が知ったら、

一体どう思ったでしょう?


「捨てる命があるなら、僕にちょうだい」


そう言うかもしれません。

小さな体で明日を勝ち取る

闘いをする子供たちを見て、

「生きられる」

…ということが、

どれだけ幸せか、

心から感じるのです。


今もあの子たちの明日が続いていると、

心から信じています。



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