カルト集団の特徴が社会にも | 太田哲也とKEEP ON RACING

カルト集団の特徴が社会にも

ジャーナリスト江川紹子さんの講演を聴いた。話の中で僕が印象的だったのは、「最近、一般社会の中にもカルト集団の特徴が見受けられる」ということだ。

江川紹子と言えばオウム真理教との戦いで有名だが、オウムの信者の多くはもともと極悪人ではなくまじめな人たちで、でも人生の進路に迷い生き方の意味を探す中で人の役に立ちたいという思いがねじれてしまった、と分析する。

いつの時代もカルト宗教というのは出てきて、その背景には個の孤立がある。カルト集団内にはある特徴がある。それは善と悪がはっきりしていること。

同様に最近の一般社会もとても物事を単純化するようになってきた。
イエスかノーの二元論で反対意見に「敵」「悪」とレッテルを張る。たとえばブッシュは、イラク戦争に反対するフランスを敵対視し、フレンチフライ(フライドポテト)という呼び方を替えたそうだ。たとえば小泉元首相は郵政民営化に反対するものを抵抗勢力と位置づけた。そして、メディアから喝さいを受けた。

テレビなどのメディアではできるだけ主張がわかりやすく面白く伝えることを重視する。だが世の中は単純ではなく、真相は一つではない。いじめ問題に関しても教育関係者だけのせいではなく原因は多岐にわたる。

テレビは意見の違うAとBとを戦わせる。たとえば経済格差がテーマなら、経済格差が良いのか悪いのか。一生懸命頑張った人とそうでない人の間で生じる格差について一概にイエスノーでは答えられる話ではない。それなのに札を上げてイエスかノーで答えさせる。より刺激的より面白くという方向だ。

講演後、僕が「あれって、田原総一郎とかTVタックルとかの番組のことですか?
と聞いたら「あはは」と声を上げて笑った。$太田哲也とKEEP ON RACING