1.冒険がワクワクする
2.失敗談が笑える
3.謙虚なところが好き
フランクリンはずば抜けて頭がいい。
例えば作中でも、フランス語、イタリア語、スペイン語、ラテン語を習得したと書いていたり、科学分野にも功績がある。
しかし、かなり謙虚である。
例えば、13徳にも「駄弁を弄することなかれ」とある。
さらに、フランクリンは相手を論破することを戒めている。
そもそも、詭弁を弄すれば相手の主義主張が正しくとも論破できてしまう。
フランクリンは頭がいいため、やろうと思えば論破することは容易いと思われるが、論破しても人間関係が壊れるし、良い結果になることはないという。
そこで、断定的な語句は一切使わないようにした。
そして、「こうではないかと思う」「現在のところこうだと思われる」「私はこう思う」などの言い方を徹底した。
また、相手が間違っていると思われる場合でも頭から反駁したり、いきなりその主張の不当を指摘して快を貪るようなことはしない。
「時と場合によっては君の意見も正しいだろうが、現在の場合はどうも違うようだ」、「自分にはそう思える」というようにやんわり否定した。
そうすることで、人と話す時に却って容易に物事が運ぶようになった。反対されることも少なくなった。
後の、新制度の提案や旧制度の改訂の際もフランクリンの意見が早くから重要視されたのは、これらのおかけであるという。
4.フランクリンの考え方
本書で一番勉強になり、面白かったのがこの部分。
フランクリンはよくよく考えて行動していることが分かる。
印象に残った例では、
・凧の実験をして雷≒電気ということを論文を発表したが、イギリスの権威から猛反発され反論書が送られてきた。
↓
・凧の実験のやり方は論文に示されているし、自分としては仮説として提案しただけで、独断的に述べたわけではないし、いちいち弁解する義務はない。
↓
・結局自然の成り行きに任せて一度も回答しなかった。
もちろん、フランクリンの功績は後に認められることになる。
ムキになって反論しそうなものだが、よくよく考えた結果、反論しないという決断をした。
反論するにしても、しないにしても、
何か行動に移す前によくよく考えることは重要だと思った。
もちろんこれ以外にも、フランクリンの考え方は数多く出てくるため「考える」重要性について学ぶことができる。
5.おわりに
冒頭で述べたとおり、「勤勉節約」について述べた本であると思って読み始めた。
ところが、そんな説教臭い本ではなくフランクリンの経験や思考を赤裸々に書いてある本であった。
そのため、単に読み物としてかなり面白い内容になっている。
読む人によって色々な感じ方ができる。是非、一読することを勧める。
十三徳について気になる人がいるかもしれないから、念の為Wikipediaの文章を貼っておく↓
- 節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。
- 沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
- 規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
- 決断 なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
- 節約 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
- 勤勉 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。
- 誠実 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし。
- 正義 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
- 中庸 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。
- 清潔 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
- 平静 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。
- 純潔 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。
- 謙譲 イエスおよびソクラテスに見習うべし。