最後の授業。

そう聞いて、

みなさんは何を思い出しますか?




ぼくが思い出すのは小学校6年生。

卒業式直後の小学校最後の授業。

お母さんたちも後ろで見守ってくれています。

  



今日でもう赤白帽子をかぶることもないね。

今日でランドセルともばいばい。

四月からは切符も大人料金か。

そんな季節。





最後の授業で、

ぼくたちはそれぞれ自分の未来の夢を

ひとりずつ短冊に書きました。



ずらっと並べられたぼくらの夢たち。

緑色の黒板を真っ白な夢で埋め尽くしました。





そして前に出てきてひとりひとりの夢を語るのです。

どんな無謀そうな夢でも、

なんでもないことのように語る姿が眩しくて、

ぼくたちなら何だって叶えられそうな気がしたよ。

不可能なことなんて何ひとつないんだ。


 

卒業を前にしたぼくらは、

みんなの前でお話をしっかりできるようになりました。

これも先生のおかげです。




先生が6年生のときに掲げてくれたスローガン。

『胸を張っていこう!』

緊張しているとき、

辛いとき、悲しいときでも、

視線は落とさず前を見よう。

顔を上げてまっすぐ前を向こう。

背筋をしゃんと伸ばそう。

手には勇気を握りしめよう。

胸を張って堂々としていよう。

そんなことを何度も教わりました。





ひとりずつ夢を語り、 

そんな先生から涙ながらの

熱いメッセージをもらいます。

あのときは感動が伝染してみんな泣いてたね。

もう先生ったら何言ってるか全然わかんないよ。




そしてそれぞれ自分の短冊を持ち帰ります。

児童全員がそれぞれの夢を語ったあと、

黒板には残ったのは一枚の短冊。








そこには『8』と大きく書かれていました。






8。



みんながあの短冊は何なのか

あの数字は何なのか、

ざわざわする中、

先生が静かに話し始めました。




8。

 

そこに書かれていたのは担任の先生の夢。

8年後。

12才の僕らが20才になったとき、

大人になったみんなともう一度会って、

お酒を飲めるようになったぼくらと、

一緒にお酒を飲みたい。

昔のことを語り合いたい。

先生歳とったねーって言われたい。

そんな夢でした。。。











ーーーーそして、あれから8年。








20才を迎えたぼくらは、

成人式のあと、

先生の夢を叶えるべく

同窓会を開いたのです。


大きくなったら長崎から離れちゃう人が多い中、

その日は無事に全員集まることができました。




8年でもっと太っちゃってた担任の先生も

夢が叶って大喜び。

みんなが揃ったらどんな夢だって叶えることができるんだよ。




次は30才になったときだね。

10年後かー。

ぼくらはまた再会の約束をしました。


   






ーーーーそして、あれから10年。




一緒に歩いていた仲間も、

それぞれの選んだ道を歩いていく。

いつまでも同じ道を歩いてはいない。

それぞれがそれぞれの道の上で

それぞれの夢を叶えているんだ。

でもこの先どんな辛いことがあっても

きっと大丈夫!

共に過ごした日々があるから

ぼくらはすごく恵まれている。

いつでも思いだして、

強くなることができる。

いつでも胸を張って、

堂々と生きていくことができる。

だから生きていく道は違っても

ひとりきりではないんだ。





もうすぐその10年後の集まりがあります。

みんなどんな10年だったんだろう。

何を考え、何と戦い生きてきたんだろう。





いつまでも同じ場所にはいられない。

変わっていく、進化していく強さ、そして美しさと、


いつまでも変わらないでいて欲しい。

何があっても変わることのない強さ、美しさの中で、

ぼくらは今日も生きています。





10年間一度も顔を合わせてないのに、

子供と一緒に仮面ライダー見てるよ、

と嬉しそうに言ってくれる仲間を、

ぼくはずっとずっと大事にしたいと思うよ。







あの頃の短冊の夢にはぼくらは近づいているのかな?

100才まで生きる!と書いてたあの子はまだまだだな。



あのときぼくが短冊に書いた夢は、、、


おっと、これはまた別の機会に


お話ししようかな。


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