この宇宙を成り立たせる四つの力。
その中の一つ、重力。
他の三つの力に比べ、この重力のエネルギーのみが極端に弱いのは、
重力子として、三次元世界から外に漏れ出し、高次元空間を往来することが可能だからだと考えられている。
我々は異次元空間への移動を手に入れるために、是が非でも重力を制御したいところだが、
相対性理論と量子論を統合した現在の重力理論において、重力の底であるブラックホールの特異点の情報が圧倒的に足りない。
物理的観点では、特異点に近づけば近づくほど重力の大きさは増加し、時間の流れは遅くなるから、
もはや物体は停止し、時間は静止してるようなもの。
そもそも光さえ飲み込む高密度の天体相手に観測など不可能なわけで、
ワームホールを駆使してどんなに遠くまで行ってみたところで終点など無く、
結局我々は時空間を超えて記憶の旅に辿り着く。
ーーーそこから更に異次元世界への時空間移動、及び精神の帰還を夢みる人類。
我々の望んだ未来はその先にあるのか。
それを可能にしてくれる「彼ら」の存在が、また僕を未知の宇宙へと連れ戻してくれる。