29日に放映された「プロフェッショナル仕事の流儀 ワンちゃんSP」 の番組で、北栃木愛犬救命訓練所の中村訓練士が紹介されていました。

SNSで話題になっていましたので見られた人も多いと思います。

感動したという肯定的な人、虐待じゃないかと否定的な人。感想も人それぞれだと思います。

 

私が咬み犬専門の中村訓練士の存在を知ったのは4年前でした。

奏音を茨城のセンターから引き出して、咬み犬の扱い方に悩んでいるときに咬み犬専門の北栃木訓練所を知り、興味を持ったことがきっかけです。

 

当時の私は陽性訓練だけでは限界があり、強制的な方法をとって治すのも最終的な方法の一つという考えがありました。

咬み犬を治す最後の砦のようで、一度見学に行ってみようとさえ考えていました。

 

では、今はどう思っているかと聞かれれば「NO」です。

 

確かに「もう殺処分しか道の残されていない犬の命を救う」、「命をかけてこの子達と飼い主さんに向き合う覚悟」という気持ちに嘘偽りは感じられず、ひた向きな愛に共感しました。この思いに感動された人も多いと思います。

 

ただ、この思いと用いる方法は別物で考えるべきだと思います。

 

前回のブログで、犬の性格は先天性に生まれ持つ気質と環境によって作り出されるものとで形成されると書きました。

先天性の咬みは脳内の異状による病的なものも多く含まれ、中でも突発性激怒症候群がよく言われています。

原因は脳内のホルモンバランスで、これを改善するには医療的な処置も必要となります。

 

環境とは、育った環境であり飼い主さんとの関係性です。番組の中で、飼い主さんが愛犬に咬まれないよう部屋の中にケージを張り巡らしながら接している場面がありました。こういう環境の中で日常過ごすのは飼い主さんにとっても犬にとっても、相当に心痛なものだと思います。藁にもすがる気持ちで預託訓練に出す気持ちもわかります。

 

ただ、こうなった原因は何でしょうか。登場した飼い主さんの中で柴犬を同居犬のM・シュナウザー(MIX?)と同じように育てたのに咬み犬になってしまったと言っていました。先日、犬の飼育経験が豊富な飼い主さんが柴犬の噛み癖を相談しに来店されました。「今迄の犬と全然違う」と戸惑ってのことでした。

 

犬は犬種ごとに人と共にする役割(仕事)があって、その役割(仕事)に合わせて気質も違います。洋犬と和犬は人とのかかわり方、距離感が違います。特に柴犬は洋犬のようにべたべたとした飼い主との関係は「お断りします」という子が多いのです。束縛されるのが嫌いな犬種です。その点は犬と言うより猫に近いという方がわかりやすいと思います。どんな犬種でも犬種の持つ特性をよく理解してから飼わないと、間違いが起こりやすくなります。

 

話が少し逸れてしまいましたが、私が「NO」と感じてしまうのはこの方法は犬育てとは違う方法だからです。

 

犬の訓練方法で、強制的にその犬の性格を破壊し、再度構築しなおすという方法があります。強制の力加減にもよりますが、失敗すればその反動も必然的に大きく、犬育てと子育て⑤で書いたように、替わりの犬がいる職業犬に使う方法です。この方法によって犬の服従心と犬の諦める心が出来上がります。

 

犬が咬むという行動に出る原因は1つではありません。様々な原因が考えられ、それは1つとは限らずいくつもの要素が絡み合っている事が多いのです。原因によってその方法は変わるもので、飼い主が一緒になって絡んだ糸をほぐすように解決させていくのが最適な方法だと思っています。時間はかかりますが、それが親である飼い主の責任であり、努めだと思います。

 

わかりやすく言うと、ボタンの掛け違いを1つ1つ掛け直していくのか、ボタンを全部取って縫い直すかの違いです。

 

長くなってしまいましたが、何事も100%の正解はないと思います。

それぞれプラス要因があればマイナス要因もあるものです。

人それぞれ考え方が違うように、犬に対する考え方も違います。

 

ただ犬育てとして考えれば、他人に任せず飼い主自らの手で育てていくものなのです。