●「ドイツ零年」

 

 

戦後の、敗戦国ドイツの街の映像が見れるというのは興味深い。

 

イタリア制作の映画なのですが、当時イタリアがドイツでドイツ人の話の映画を撮ったというのも興味深い。

 

みんな悲惨な生活を送っているのだけれど、子供たちの髪の毛がみんなサラッと爽やかなのが、ちょっと違和感があるけれど、あれはロッセリーニ監督のセンスということでしょうか・・?

 

子供にベタベタさわる元教師たちが気持ち悪いが、そこに触れないのはなんだろう?あれも監督のセンスか?

 

 

 

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ご注意ください

 

 

 

主人公の兄が国のために戦ったのに、戦争が終わったら兄は戦犯になる矛盾。

 

主人公の少年が自殺を考える直前の取り止めのない行動に見入る。

●「先生の白い嘘」

 

 

 

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最初からスミマセン・・・

 

 

恐らく前半の主人公を好きになる生徒との個人面談のシーンでの、主人公の生徒に発する言葉の力強さが、この主人公のキャラを今ひとつ分からなくさせたのではないかと推測します。

あそこの表現を、もう少しキレイじゃない?もしくはストレートじゃない?ような感じの、例えば歪んだ感じ?のようなものがあれば、その後の主人公の、先が読めない行動に目が離せなくなったんじゃないか?と思いました。

 

ヒール役が、いかにもなキャラだったのも、残念な感じで、もっと良いところもあったりして屈折してた方が人間味が出たような気がしますが、

もしもあの記号的なヒール感でやりまくるのなら、やられた側のやり返しの見せ場のカタルシスが欲しい。

せっかくあそこまで同調できない悪ぶりで敵役を演じてくれているのですから、他人の力で降されることなく自滅するのはとてももったない気がする。

 

面白いとは言い難い内容ですが、色々考えさせて貰えたので全く飽きずに興味深く観ました。

 

 

 

      

●「第七天国」

 

 

無声映画なのですが、定番のメロドラマなのですが

面白かった。

「サンライズ」のような抜群の面白さを期待したもののそこまでは行かず・・。

 

なぜ題名が第七天国という、七という数字なのでしょう?

七という数に何か言い伝えでもあるのでしょうか…?

 

ヒロインが可愛くて魅力的と思ったらこのジャネット・ゲイナーという女優、相当な実力派女優なのですね。

 

主演男優も好ましくてイイ。

この人も当時は有名な俳優だったのでしょうか?

 

 

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ご注意ください

 

 

主人公が住む屋根裏のような部屋が面白い。

柱を渡って隣の家に移動出来る構造が可笑しい。

あのどんどん上がっていく建物のセットはカットを割ってないから、全部、作ったセットなのですよね?すごい。

 

一番最下層の地下で働く人がテッペンの部屋で生活しているという設定も面白い。

 

「俺は一目置かれている」という台詞もイイ。

 

ラスト、目が見えてないのにあの人混みの中、急いでやって来れたのは、微かに見えてる感じの設定なのでしょうね。

 

 

 

       

 

●「乱暴者」    ブニュエル監督版

 

 

マーロン・ブランド主演映画の方ではありません。

 

最近観るブニュエル映画はどれも面白いのはどうしてだろう?

面白いに越したことはないのですが、ブニュエルは分かりにくい不可思議な映画もよく撮ってるのですが、メキシコ時代の映画はとても分かりやすい映画が多く、分かり易ければ面白いのか?というとそうではないので、何がこんなに映画を面白くさせているのか?と気になりながら観たのですが、やはり映画の入り口の描き方が上手いんじゃないかと。

 

ずっと起承転結の転が冒頭で続いてて、その転が伏線やキーワードの点にもなってるし、そして展開もスピーディで、けれど観客を置き去りにしないキーワードの点をしっかり提示している。

画面の活気も常にあって、例えば最初の肉工場での主人公と地主の会話に、ガヤの俳優が「〇〇はどこにある?」とか話の本題に茶々を入れてくる演出など、良くあるシーンだけど、実はとても躍動していて、地味ながらも色々突くブニュエルの職人的手腕に、楽しく見入る。

 

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ご注意ください!!

 

主人公とその主人公に恋をする二人のキャラ設定は、感情移入するには中々に難しいところを突いていてブニュエルらしさを思う。

 

顔を潰すシーンは衝撃。しかもその顔をうっすら映すのだから、さすが「アンダルシアの犬」の目のカットを撮ったブニュエルだからこそと納得。せざるを得ない。

 

 

●「囚われの美女」

 

 

出た!

これ、面白いです。

訳わからないので手放しでお勧めできませんが私は好きです。

 

色んな錚々たる映画を彷彿させるけれど、1983年の映画なんですよね・・ということは錚々たる監督がこの映画の影響を受けたことになるのか?

錚々たる監督というのは

デヴィット・リンチ、アキ・カウリスマキ、キューブリック、ホドルフスキー、シャンタル・アケルマンなどなどなのですが、そう言った監督を思い起こさせ、けれど使い古されてない独特の新鮮さがあり、これはカルト的逸品です。

 

フラッシャバックやエロス的カットの入れ方に常に緊張感を漲らせ、見事。

 

 

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ボスの部屋にオートバイがライトを光らせ置いてあるとか、ユーモアも光っている。

 

美女に群がる紳士たちのシーンは「アイズ・ワイド・シャット」を彷彿。

 

次の場所から次の場所への移動シーンが無い可笑しさはアキ・カウリスマキを思わせます。

 

刑事や医者、あとコミカルな自転車の男などいかがわしい俳優陣が面白い。

 

この迷宮、いつまでも観ていられる。(←ちょっと井之頭風です)

 

俳優の動きで音が効果的に消えたりする音楽もイイ。

 

マルグリットの絵も効果的。

 

こういう一人語りの迷宮の物語、一度芝居でやってみたいです~。