退職後２年目冬の話が続きます。
私は雇用保険の支給残日数があと90日ほどに追い詰められていることを前回話した。この時期年末である。ちょうど民営化直後の郵便事業会社で繁忙期の短期アルバイト募集があったので応募してみることにした。電話をかけると少し応募が遅かったので深夜の時間帯しか残っていないらしい。とりあえず面談をしたいと言うことなので行くことにした。
このときの就業場所は京都駅前の郵便局である。私はゆうパックはヤフオク出品者をやっていることで多く使っていた。私は毎月10個以上コンスタントに荷物があるので料金後納のサービスを利用していた。これは掛取引で支払いが翌月になるので楽になる。
面談では応募の動機などを聞かれるが、私は自分がゆうパックを多く差し出すので、その内部がどのように動いているのかを知りたいと答えた。勤務は夜９時15分から翌朝５時15分までの実働７時間(休憩１時間)である。業務はチルドゆうパックの仕訳作業で、主に冷蔵庫の中での作業になるが、防寒着などはあるので心配はないらしい。時給は770円である。深夜の22時から５時までは２割５分増しになる。交通費も支給される。シフトが割り当てられるが繁忙期なので週４回から５回の勤務になるらしい。結果は後日送るので少し待って欲しいと言うことになった。
前回書いた奇策と言うのはこれである。雇用保険では週に20時間以上働いた場合は短期間でも就職の扱いになり、雇用保険の支給は一時停止される。この期間に残されている所定給付日数は受給期間の１年までなら後に繰り延べられる。この短期バイトは年末１ヶ月ほどなので私の所定給付日数が210日であることを考えると繰り延べても問題はなかった。これには例外もあり、働いた期間申請すれば1日所定給付額の30パーセントの就業手当をもらうこともできる。この場合は所定給付日数は減る。
後日通知が出て私は採用されることに決まった。12月の上旬から月末まで全部深夜勤務でシフトが割り当てられた。前の職場で深夜まで残業したことはあるが完全に昼と夜が逆転する生活と言うのはこの時が初めてだった。それでもたとえ１ヶ月間でも仕事をして賃金ももらえるし雇用保険の受給も先に延びるので問題は仕事の内容で続くかどうかで勝負は決まることになる。この期間は雇用保険の支給がないのでヤフオクの利益も全額自分のものになる。
出勤初日がやってきた。勤務場所の保冷室(広い冷蔵庫)内での作業になるが、冬なので屋外で作業するのとそんなに変わらない。この郵便局は京都でのターミナル局なので京都中から来た荷物を全国に配送するのと全国から到着した京都宛の荷物を各地に振り分ける作業がある。荷物は山のようにたまっている。これを次々と間違いのないように確認しながらさばいていくと言う作業で、単純ではあるが重労働である。ゆうパックは30キロまでの荷物があるのでかなり重い荷物もある。これを郵便番号ごとに仕訳けてパレットと言う台車に積んでいく。ひたすらこの作業の繰り返しになる。この仕訳けたパレットをエレベーターで車のあるところに降ろすまでが我々の仕事である。もうここは戦場である。荷物がさばききれない場合は残業もある。
ちょうど始発の電車で帰宅することになるが、もうくたくたになっていた。そのまま昼過ぎまで休んで夜に出勤と言う生活パターンになる。生活のリズムが狂うので楽ではないが１ヶ月ほどなので最後までやり通す事は決めていた。
この間再就職活動も進めていたが思うようには行かない。私の体調が整わず面接を辞退した会社もあった。
12月25日くらいまで繁忙期が続き、週２日から３日の休み以外は荷物との格闘が続くことになる。荷物は冷蔵で取り扱われるもの様々である。少ないが冷凍の荷物もある。荷物を落とさないように強くつかむので手のひらが痛くなるが塗り薬を塗りながら頑張った。手が空いたときには速達や書留などの応援に行くこともある。こうやって深夜も頑張っている人がいるから荷物もスムーズに毎日動くのだなあと思った。
繁忙期が過ぎると荷物は激減する。お正月の荷物などがあるが知れている。私は31日まで勤務だったのでこの年は郵便事業会社の中で年を越した。約20日強の勤務だったが生活リズムが崩れることが何よりも厳しい。給与は約13万円ほど(深夜手当、通勤費込)だった。最終日に雇用保険を再度受給するための書類を書いてもらった。
なかなか業務は大変でしたが郵便局の中身を知ることができて勉強になりました。私が差し出した荷物もこうやって流れ作業的に処理されているのだろうなとは思いましたが来ている人も大学生から郵便OBの人まで様々な境遇の人がいて様々なことを教えられた１ヶ月間でした。
話はまだまだ続きます。
