おはようございます、 たまき哲ろう です。
最近の経済ニュースで、
「6月の企業物価指数が、昨年同月比プラス9.2%」
と騒がれています。
なぜこれ程このニュースが騒がれているのか、
経済学に対する自分の理解を深めようと思い、
筆をとりました。
「6月の企業物価指数が、昨年同月比プラス9.2%」とは、
「昨年6月と今年6月を比べた場合、企業と企業の取引における価格が9.2%上がった」
「企業と企業が取引するモノの価格が、昨年6月は100万円だったが、今年6月は約109万円だった」
ということを意味します。
「企業物価指数が上がった!消費者物価指数が上がってしまう!インフレが起きる!大変だ!」
と煽っている人がいますが、実は正確ではありません。
つまり、
「仕入れ値が上がると、必ず定価(=消費者価格)が上がるのですか。」
「仕入れ値が上がると、定価(=消費者価格)はそのままにして、人件費を削ることは考えられませんか。」
ということです。
もし煽るならば、
「企業物価指数が上がった!
A)失業率が高まるかもしれない!
または、
B)インフレが起きるかもしれない!
大変だ!」
が正しいです。
すなわち、
企業物価指数が上がると、
A)失業率が高まることを認めるか(雇用を守るか)。
B)インフレを認めるか。
という議論が行われます。
企業物価指数が上がると、
A)インフレをおさえて、失業率が高まることを認める。
B)失業率が高まることをおさえて、インフレを認める。
どちらかになる、とも言えます。
一体どういうことでしょうか。
「企業と企業が取引するモノの価格が、昨年6月は100万円だったが、今年6月は109万円だった」
ということは、
「100万円で済んでいた費用(=コスト)が、109万円になった」ということです。
すると、企業の行動は大きく次の2つになります。
A)人件費を削減する。
B)消費者に売る価格を上げる(商品・サービスの値上げする)。
<例1>
企業物価指数が上がったため、
A)人件費を削減する。
=A1)給料を下げる。
=A2)従業員をクビにする。
=A3)従業員の新規採用を止める。
つまり、失業率が高まります。
そして、
A)人件費を削減する場合、消費者に売る価格を上げる必要はないです。
つまり、消費者物価指数は上がりません。
すなわち、インフレは起こりません。
これが、企業物価指数が上がった場合の1つ目
A)インフレをおさえて、失業率が高まることを認める。
A)消費者価格の値上げをおさえて、人件費を削ることを認める。
の意味です。
<例2>
企業物価指数が上がったため、
B)消費者に売る価格を上げる(商品・サービスの値上げをする)。
=読んで字のごとくです。
つまり、消費者物価指数が上がります。
すなわち、インフレが起こります。
ただし、企業は人件費を削る必要はなく、雇用が守られた状態になります。
これが、企業物価指数が上がった場合の2つ目
B)失業率が高まることをおさえて、インフレを認める。
B)人件費を削ることをおさえて、消費者価格の値上げを認める。
の意味です。
では、これらA)B)に対して、政府・日銀は何をするのが適切でしょうか。
A)インフレをおさえて、失業率が高まることを認める。
→失業率が高まることをおさえたい。
→例えば、雇用調整助成金を出す。法人の各種費用負担を減らす。
→インフレをおさえたまま、失業率が高まることをおさえる政策。
B)失業率が高まることをおさえて、インフレを認める。
→インフレに消費者が耐えられるようにしたい。
→例えば、所得税・消費税を減税する。消費者に現金を配る。所得を上げる。
→失業率が高まることをおさえて、インフレを認める、インフレに消費者が耐えられる政策。
本来の経済的には、B)インフレを認めるのが良いです。
しかし、B)のための政策=所得税・消費税を減税する。消費者に現金を配る。所得を上げる。
のハードルが高いのが実状です。
A)「失業率が高まることをおさえる」「雇用を守る」「インフレをおさえる」政策。
つまり、雇用調整助成金を出す。法人の各種費用負担を減らす。側を原則に進むと思われます。
しかし、企業の中には「これ以上は人件費を削れない。価格を上げざるを得ない。」かたもいます。
B)失業率が高まることをおさえて、インフレを認める、インフレに消費者が耐えられる政策。
つまり、所得税・消費税を減税する。消費者に現金を配る。所得を上げる。側も必要でしょう。
問題は「どのくらいの金額規模でやるか」です。
皆さんが考える政策は、A)失業率、B)インフレ、どちらのためのものですか。
この国難をどのように乗り越えるか、活発な議論をして頂きたいです。
企業物価指数の川上の部分では、9%どころか60%を超えているとも言われており、
かなり危険な状況になっています。
玉置哲朗