人には職分や本分というものがあり、
脚や指が、目や口のように、世の行く末を見通し、世間に物を申すことはゆるされないという。
脚や指の役割をしている人は、普通なら、そのような能力もないので、なおさら、
切り落とされる傾向にある。
そのような事態があるのなら、
社会が機能していない証拠にもなりえるが、
一つ指摘しておきたいのは、脚や指を身体全体が、その部分に意識を集中させていれば、
当然のこととして、彼らの意思には関係なく、本分を守るどころではなくなるし、
そのほかにも、脚や指の本分を守っていたとしても、その見返りとして、通常のご利益を与えない
つまり栄養をいきわたらせないでいることが、永年続くのなら、生存本能から
必死で脚や指も、目や口のような働きを差し出がましいことと知りながら、行うようになる。
ご利益というのは、カネか権威か家族を与えることである。
そして与える側には誠意がなければ内容も相手は満足しない。
職分を守らせるのは、このような考えを身体全体、つまり社会全体が共有していれば簡単なこと。
指や脚に意識を集中させないことと、働きに報いること。