辞書によると、まつりごと(政)とは主権者が領土・臣民を統治すること、或いは国家・社会を正しく治めることで、これを政治と言う・・・とある。
してみると、人類にとって平和で豊かで幸せな社会実現の為には、この【政】への完璧な仕組みづくりは必要不可欠なものとなる。

世界を見渡せば、独立国と見なされる国は概ね206カ国程が存在している。

そしてそのそれぞれが独自の政を有しているのである。
それらの中には、豊かで平穏な日々を享受している国もあれば、内乱や侵略という戦乱の恐怖の中に身を置く不幸な国もある。又天災等により衣食住を奪われ、今まさに飢餓状態に見舞われている国も多い。


政の定義する主権者とは、言うまでもなく全ての国民であるが、政を運営して行く者は主権者たる国民を代表する少数の人員となる。

したがって、国家・社会を正しく治める為には、当然ながら国民を代表する少数の主権者は、国民の真の幸せを希求する健全な精神の持ち主であることを要求される。
それ故全国民の選挙という厳選なる審査を通して代表者は選任されるのである。


一つ一つの国家には、自らが抱える様々な問題があり、政の代表主権者(ここでは「政治家」と呼ぼう)は、万難を排し全知全能を尽くしてこれに取り組む必要がある。


政の遂行(運営)を任された代表者は、一定の範疇で又一定のルール内で国の意思や方針を決定する権限が与えられる。これこそが「権力者」と呼ばれる所以であるが、自ずと憲法や理性的な法律の枠内に、権力は付託されていることを忘れてはならない。

 

政治への正しい理解や知識は成人になってから身に付ければ良いというものではなく、学生時代より理性的な教育が為されておくことが肝要だ。

学生時代はピュアな思考と判断力が期待できる。社会人となってからでは、自らの属する集団や組織に感化されたり、損得勘定に支配されたりして、真っ当な判断が下し難くなるからである。

 


ではここで、【政】に内在する大きな問題について考える。


人間の過去の歴史を振り返ると、凡そ一つの民族が或いは近似した民族が一つの国家を作って来た。

領土問題を発端とした絶え間のない戦乱は、この民族間の争いが大きな原因であったとも言えよう。勿論現代の争乱しかりである。


【政】の目的は領土・臣民を統治することであるが、一方では国家・社会を正しく治めることとある。ここには相反する可能性のある思想が内在しているのである。

一見何の矛盾ないようだが、自分の国さえ或いは我々民族さえ幸せならそれで良い、等とする思想に陥り易い厄介な危険を孕んでいるとも考えられる。


争いの絶えない人間社会の原因がこんなところに潜んでいるとしたら、何とも悲しすぎる現実ではないだろうか?


人間は未来に向けて革新的飛躍を果たさねばならない。今のままでは未来永劫この地球という惑星に真の恒久なる平和や幸せは訪れないだろう。


私はそれを実現するたった一つの条件は、この惑星の人間にただ一つの民族意識が育まれた時だと確信する。
前述したように世界中の様々な国家が、様々な問題を抱えている。これらの問題は一国家だけでは決して解決できない。

 

豊かな国が貧しい国に、先進国が後進国に、温暖な国が寒冷の国に、資源大国が資源小国に・・・と言ったように、互いに私利私欲なく助け合わなければ、現代社会では全ての国が幸せや平安を享受できない環境になっているのである。


【政】は今や地球単位の視野・視点に立たなければ、辞書にあるような、主権者が領土・臣民を統治すること、或いは国家・社会を正しく治めること(政治)の実現は不可能なのである。