年末、実家に向かう途中、本屋さんで自分のと娘のものを一冊ずつ買い求めました。






娘のものは、たくさん平積みで積んであり、本人も気に入った「ざんねんないきもの事典」。これがなかなかおもしろい。酉年にちなんで読んでみると、「カカポ」という鳥がなんとも、おもしろくも残念なのです。

またの名をフクロウオウムともいうらしく、カカポとは、この地にやってきたマオリの人の言葉で、「カカ」はオウム、「ポ」は夜を意味するものだという。つまり“夜のオウム”というわけなのです。



この鳥の体長は約60センチメートル。体重はオウムの中では最も重い4キログラム台で、寿命は60年ほどあるそうです。

他の陸上性の鳥と違い、この鳥は空を飛ぶことができません。

理由は、2つあります。

まずは、エネルギーを蓄えるために、体の大半に脂肪を蓄積することが可能であり、そのため体重が重たくなったのです。

胸骨に竜骨が事実上無いに等しいので飛ぶことが出来ないわけです。つまり、カカポの翼はバランスを取ったりブレーキをかけたりするのに用い、木々から落下傘のように飛び降りることができるだけです。

もうひとつは、巨大ワシの他にはたいした敵もいなかったので、カカポはワシたちの寝ている安全な夜に活動することにして、飛ぶこともやめてしまい、地上生活を続けたからです。そのうちに足がどんどん太く丈夫になり、体には脂肪がついて寒い山の中の暮らしも平気になりましさた。

ニュージーランドには何百万年間もの間、 事実上哺乳類はおらず、爬虫類と鳥の楽園でした。というのも、哺乳類は、コウモリが 2種いただけだったからです。このため、 新たな動物が上陸したとに、カカポは全く無防備な存在になってしまったのです。

長い間外敵のいない環境で生きてきたため、闘ったり逃れたりする防御手段を身につけず、危険を感じるとうずくまってじっとする習性を持っています。

「木をゆすればカカポが落ちてくる」と言われるほど繁殖をしたにもかかわらず、1990年にはたったの50羽までその数を減らしてしまいます。



9世紀以降、ポリネシア人とヨーロッパ人による移住・植民によってネコやネズミ、イタチなどの捕食者が侵入すると、フクロウオウムのほぼ全てが死滅してしまったのです。現在確認されている個体数は高々百数十羽程度で、そのすべてに名前がつけられ、ニュージーランド国内で手厚い保護の下に置かれています。

世の中、たまにはいやな敵がいたり、ビジネスでも競合がいて、安穏としていられず、イヤになることも多いですが、甘い環境に身を置いていると絶滅危惧種になる可能性も高いわけですね。

そう考えると、多少居心地悪い環境でも適度な緊張感を持って順応していくことが大切といえそうですね。