先日この映画を観た。なかなかに渋い映画だった。

マネーの話とは関係ない。

でも、そういう視点からも見てみたい。

 

ネタばれになるが内容はこんな感じ。

ある男の単調な毎日がただただ描かれている。

舞台は東京浅草界隈。スカイツリーが眼前に見える。

公衆トイレ掃除を業とするひとり身の初老男性が、ボロアパートに住み、毎朝暗いうちから軽のバンで出勤。必ず缶コーヒーを買って車に乗り込み、車内では時代遅れのカセットテープを聴き、担当のトイレを次々に掃除して回る。実に丁寧な仕事ぶり。

昼はいつも同じ神社のベンチでサンドイッチ。趣味なのか、昔ながらのポケットカメラ(バカチョン)で木漏れ日を1枚、いつも撮る。時々、例えば神社の大木の根元に芽吹いた小さな草を土ごと持ち帰り、アパートで育てる。アパートには小さな鉢植えたくさんが並んでいる。これも趣味か。

夕方は銭湯へ。大抵一番風呂の時間。脱衣所のTVでは相撲中継。

夜は浅草銀座線の飲み屋で酎ハイを一杯飲んで帰る。

アパートにTVはない。寝床で文庫本を読んで、寝る。

休日はコインランドリーで洗濯、決まった古本屋で1冊買い、決まった写真屋でフィルムを出し、夕方は行きつけのスナック(ママは石川さゆり)で酎ハイを飲み、ママの生歌を聴く。

男はほとんど自発的にはしゃべらない。

 

令和の中に昭和の匂いが感じられるので、昭和世代にとっては嬉しい。

その単調な生活の中で、彼の身の回りに少々変化が起きるが、なぜだかマイペースで無口な彼に触れた人たちがちょっとずつほっとしたり癒されたり幸せな気持ちになったりする。

 

 

この映画の主人公の生活をマネー的な視点で見てみよう。

【収入】

・トイレ掃除:ネットで調べたら時給1200円くらいか? 1200円×8時間×20日/月=192,000円

・年金:謎。そもそも年齢が謎なので。

【支出】

・家賃:メゾネットタイプの木造、築40年以上、風呂無し。浅草だと・・・7万円位?

・食事:朝は食べてなさそう。昼のサンドイッチと晩御飯(中身は不明)で1日食費1500円として×30日=45,000円

・晩酌:毎日外で酎ハイ1杯とお通し。1000円として×20日=20,000円

・風呂:銭湯は今520円かな。月20日間として10,400円。

・毎日の缶コーヒー。140円×20日=2,800円

・週一回のコインランドリー、300円×4回=1,200円

これで収支を計算すると、192,000ー(70,000+45,000+20,000+10,400+2800+1,200)=42,600円・・・が残る

 

他に、時々買う古本とフィルム代、現像代がある。いずれにしても毎月の収支は黒字と予想できるが、年金収入か取り崩すだけの貯蓄がないと、あまり余裕があるとは言えない生活といえる。

 

そんな風に、ストーリーとは別にFPとしてあれこれ想像しながら映画を楽しんだ。

こんな余裕のない生活でも、迷いなく淡々と不満もなく日々生きている主人公が、なんだか羨ましく見えてしまう不思議な映画だった。

贅沢しなくても毎日充実している(ように見える)

 

老後資金問題とは対極だ。

 

うんうん♫ これでいいんじゃないかと思う。