かれこれ2年前くらいになるだろうか。

銀行の渉外担当と、ある女性宅を訪問した。

担当者からは、「かんぽにたくさん加入しているので内容を見てあげてほしい」というものだった。

 

60代独身、無職、一人暮らし。

アパートを訪ねると奥から足をひきずった感じで本人が迎えてくれた。

 

部屋に入り、渉外担当と彼女とのやりとりを見ていると、どうやら発語に多少不自由があるようで、聞き取るのが大変である。

足も悪いようで、外出もほとんどしないとのこと。

 

渉外の彼に促され、部屋の奥からどっさりと書類の束を持ってきた。全部かんぽの書類。

終身保険や養老保険の証書が次々と出てきて、その数20契約以上。

支払い金額を計算してみると・・・・毎月約30万円!!

 

ちなみにこの女性の預金残高は700万円。

このペースだとかんぽの支払いだけで2年で残高がなくなる。

 

これはまずい。

 

さらに証書を一枚一枚よく見てみると、契約日がほぼ半年ずつずれている。

金融機関の営業期は通常半年。推測だが、毎期毎期数字が必要となった時に、担当者がここに来て契約をお願いしていたのでは?

彼女と話をしてみると人の好さと押しに対する弱さを感じる。

同時に、金融商品に対する理解力は非常に怪しい。

(通常の会話もままならず、理解しているかどうか確認が困難)

若い局員が数字に困ったときにここに来て人の良い彼女によく説明もせず売りたい商品を売りつけていく姿を想像してしまった。

毎期毎期自動的に数字が見込める便利な顧客だったのか。

これも想像だが、滅多に外出しない彼女にとって、慣れ親しんだ郵便局の担当者との会話は楽しみな時間だったのかもしれない。

そうだとすると、期待に応えたい、役に立ちたいという想いが生じていた可能性もある。

 

彼女に「どういう理由で契約をされましたか?」と聞いてみた。

聞き取りづらい小さな声で「将来のために・・・」とのこと。

将来の前に、2年で破綻するのが目に見えている。


確かに将来の資産となる商品構成ではあるが、今後の収入や資産状況を考慮して勧めているとはとても思えない。

 

本人にさらに聞いてみると、「一部解約も考えた。でもコロナと不祥事で営業の人が来なくなったし、足が悪いので自分から出向くこともできないので、そのままになっている。」

という趣旨と聞き取れた。

八方ふさがり。

このまま毎月30万円が口座から引かれていく。

早く止血しないといけない!

 

でも本人は「わかっている。わかっているからほっといて!!」

と半ばキレ気味に抵抗。

 

僕はそれ以上コメントはしなかった。

 

結論から言うと、同行した渉外くんがその後うまくサポートして解約作業が進み、何とか事なきを得たそうである。

 

ノルマを背景とした郵便局の不適正営業は主にがん保険の販売で問題になったが、がん保険以前に主力の終身保険、養老保険でこのような無理な営業が横行していたと思う。

僕が会った顧客には、これ以外にもかんぽ地獄に陥っている、もしくは陥った経験を持つ顧客は多い。

満期になった貯金が勝手に保険に切り替えられた!!と怒っている人に何人も出会った。

商品内容の説明などなく、何年もたってから知って驚いた!とか。

でも結局皆、泣き寝入り。

 

たいがいにしろ、と言いたくなる。

かんぽ、日本郵便は信頼できない。

 

というお話でした。