数年前の出来事。

 

銀行の営業担当の女性と、ある高齢者のご自宅へ。

ご主人が娘さんへの生前贈与を始めたいというので口座を開設するとのご用。

まあ、銀行としてはその機会に何か営業を仕掛けたいという目論見で僕は駆り出された。

 

ご自宅にお邪魔し、早速ヒアリング。

生前贈与を希望されたいきさつを聞くが、なんだかご主人の話の様子に違和感。

何か大きなお金を投資されている雰囲気を感じたが、それと生前贈与が今一つ結びつかない。

 

いろいろ詮索した結果、以下ご主人からの話。

「ある運用会社に依頼して投資を進めている。近日中に〇十万円送金しないと、元手の3千万が戻らない。宅配便で50万円ずつ何度か現金を送っており、もう少しで足りるはず。先方の担当者とは携帯電話でやりとりしている。」

 

最初は証拠金取引の追い証のことかと思ったが、

 

「えっ、おいおい、、宅配便で現金????」

 

僕と銀行担当者はその場で目を見合わせ、「これはサギにまちがいない」と黙ってうなづきあった。

 

ご自宅の応接机にはその運用会社の立派な会社案内が置かれていた。

「〇〇ファイナンシャルプランニング㈱」と書かれていた。

住所は東京某所。そこに記載の電話番号に電話してみると、

 

「現在使われておりません」

 

こうやって書いてみると、明らかにサギだと誰が見てもわかる。

しかし。。。本人は全く騙されていると思っていない。

 

何度も何度も説明し説得し、ご主人に代わり我々が銀行として警察へ通報することを、本人に納得してもらった。途中で帰宅した奥様にもそれとなく話をしてみたが、奥様はことの重大さに気づいていない様子。その後警察が動いてくれ、被害はそれ以上拡がらなかった模様。担当の彼女は後日、警察から簡単な表彰を受けた。

 

以上、実際にあった話である。

営業を仕掛けるどころか、行きがかり上、犯罪防止の役に立ってしまった。

僕の中では密かな美談として心に残っているお話ですが、ファイナンシャルプランニング、という言葉にこういう怪しい使い方があるとは・・・・

 

つくづく勉強になりました。