9月28日の夜は稚内で一泊過ごした。

二日目は帰京するだけなので心置きなく、安心して夜を過ごせた。

とはいっても、公衆浴場でゆっくり風呂につかり、寂しい稚内の町の居酒屋でちょっと飲んだだけ。別に派手に遊んだわけではない。そもそもそんなに遊べる場所はないし。

地元の人に教えてもらった繁華街だったが、「これのどこが?」というくらい店が少なかった。

その居酒屋で、複数の人が、

 

国稀(くにまれ)

 

という日本酒を頼んでいた。「国稀ありますか?」っていう感じで。

きっとおいしいんだろう、帰りに買っていこう、と思った。

 

翌日になった。

帰京のためにはホテル前に朝10時35分のバスに乗ればよい。

出張慣れしているせいか、朝どんなに余裕があっても朝7時くらいに起きてしまう。

どうしよう、3時間以上ある。

 

朝食を済ませフロントで「ノシャップ岬」まではどのくらい?

と聞いてまたところ、

「3キロくらいです、自転車で往復1時間ですよ」

見るとフロント横にママチャリ2台。

2時間1000円でレンタルしているようだ。

 

決めた。

出発までのあと2時間余り、有意義に過ごそう!

出張の合間ではあるが、稚内には二度と来れないかもしれない。

ノシャップ岬に行こう!

 

さっそく出発。

最北端ノシャップ岬まで。

しかし、朝8時から海岸線の漁村をスーツ姿でママチャリを漕ぐ姿は、かなり怪しい。

 

それにしても・・・・

素晴らしい!!景色!

海、海、海、オホーツクの海。

山育ちの僕には感動ものである。

白い鳥たちが優雅に見える。その鳥たちの鳴き声も素敵だ。

ちょっとチャリのサドルが硬くて痛かったが超快適な旅だ。

家々(海岸沿いの海小屋)はかなりボロだが、ここならミテクレなんてどーでもいい。

都会に暮らしている自分がなんだかとてもアホらしく思えてきた。

この地に暮らしたら・・・といろんな妄想をした。

 

妄想しながら30分漕いだらノシャップ岬到着。

小さな手書きの看板で「ノシャップ岬」と書いてある。

ただそれだけ。「な~んだ」って何万人もの人が思ったろうなぁ。

 

眺めは海、しかも大パノラマ。

しかし、それほど大きな感動は、ない。

朝8時半で観光客は僕含めて3組。

老夫婦1組と、バイクで来た若者一人。

 

かなり寂しい風景であるが、いい記念になった。

ここまで来た、ということが大事。

さあ戻ろう!

 

同じ海岸線を戻る。

途中、昆布を採って庭に干している夫婦がいた。

昆布は浜でいとも簡単に採り(採るというより拾ってくる感じ)、そのまま束ねて庭まで運んでいた。

 

「利尻昆布」

 

になるのかなぁ。

 

こうして人生初の稚内の旅は終わった。

このあと無事に空港行のバスに乗り、新千歳空港経由で東京に戻った。

仕事とはいえ、しばし日常から離れることのできた2日間だった。