論語漫歩566  『星の王子さま』 『あれか、これか』2 | キテレツ諸子百家〜論語と孔子と、ときどき墨子〜

キテレツ諸子百家〜論語と孔子と、ときどき墨子〜

孔子、墨子をはじめ諸子百家について徒然なるままに語らせていただきます。

前回我々は、キルケゴールのもう一つの代表作『死に至る病』の意味について考えてみた。

今回は、再び『あれか、これか』に戻ることにしよう。

我々は、前々回、キルケゴールの提示した

 

   「あれか、これか」

 

の図式が、『人魚姫』にもあるのを見た。すなわち次の図式である。

 

   人魚姫の祖母  美的享楽の生活

   人魚姫     宗教的実存

 

 キルケゴールは、1834年(21歳の頃)、一時期、毎日のように、街を歩き回り、劇場に姿を現し、カフェに出入りし、多額の借金をして、娼家に出入りする、「放蕩三昧」の

 

   「美的生活」

 

を送っていた。

しかし、これはあくまで一時期のことであって、彼の全生涯は

 

   「神への道」

 

を求める、血みどろの「求道者の生活」であり、「宗教的実存」を求める日々であった。

そして、晩年、彼は

 

   「真のキリスト者は 一人もいない」

 

と、全キリスト教世界を批判し、命を賭して戦い、その戦いの最中、1855年10月2日、

路上で倒れ、11月11日、病院のベッドの上で息を引き取ったのである。