わたしがシーレを知ったのは、クリムトを知ったのと同じ頃です。シーレが描いた自画像の年齢と、その頃のわたしの年齢が同じぐらいだったので、わたしとしては親近感も感じ、自分に重ねながらシーレの自画像を見ていたと思います。この自画像も、極めて独特ですよね。顔をまったく見せていない自画像。右手の指が曲線に隠れ、尻から太腿が何かによって変形しているのは、この丸い形状の椅子か何かにもたれているのでしょう、でも、その何かは描いていません。左手は上方に上げていますが、こちらもまた手首あたりから画面からはみ出していて、どうなっているのかわかりません。シーレは自分のみをみつめているのでしょう。が、その後ろ姿は、自分では見えないものです。それにしても、痩せていますね、皮下脂肪もなく、筋肉もありません。このシーレの痩せ様は、食べていないというよりも性的な衝動に明け暮れているためのように思います。背中から腰は何か病的な感じに色が塗り分けられています。シーレは、自分自身を描いて描いて描いて、描き極めたのでしょう。