私が大好きな海外ドラマが『エレメンタリー シャーロック・ホームズ in ニューヨーク』です。ジョニー・リー・ミラーとリューシー・リューが主演の探偵ドラマですか、主人公のシャーロック・ホームズは天才で、ずば抜けた頭の良さと豊富な知識、そして“演繹的推理法”を駆使して、難解な事件でホームズにしかわからない手がかりを見つけて、たどって解決します。ジョニー・リー・ミラーが、まさにはまり役で、超個性的で偏屈で、皮肉屋で、会話はいつもブラックなウィットに富んでいて、それがとても面白いです。それに寄り添うのが“ワトソン”です。アーサー・コナン・ドイルの原作と違い、ワトソンはルーシー・リュー演じる女性です。ホームズは事件解決能力は超人的に優れていますが、人間的に脱線しそうになり、周囲の人物とぶつかりそうになります。そんなホームズを上手にサポートして、また、彼女もホームズに探偵のノウハウを教え込まれた上に外科医だった知識をフル活用して、事件の解決に力を発揮します。この二人の会話が面白いこと、面白いこと!私はもう、season 1(12話あります)からseason 6までを6回は見ていますが、いまだに面白く観ています。むしろ、見るほどにおもしろく楽しめています。その『シャーロック・ホームズin ニューヨーク』のホーム邸が、ハーレムにあるのです。毎回、そのホームズ邸の外観が画面に表れ、その中(実際は別の場所のセットだそうですが)で、ホームズとワトソンが知識と知恵を駆使して推理し、犯人を絞っていくのです。時には、ホームズ邸の玄関に登場人物が訪問してきます。そんなエキサイティングな場所にこれから行くのです。

 私は、8月20日、最終日の午前中に向かいました。ハーレムのマーカス・カーベイ・パークのすぐ西側です。バス路線図で確かめて、1番線がマーカス・カーベイ・パークのすぐ東側を通るので、タイムズスクエアのWホテルから1番線が通っているマディソン・アベニューまでまっすぐ東に徒歩で向かいます。マディソン・アベニューに出たらバス停を探します。昨日はとんだハプニングでしたが、今日は難なく乗れました。ニューヨークの街並みを眺めながらバスに揺られて行きました。

 そしたら気づいたことがありました(けっして差別的な見方で言っているのではありません、あくまで“地域性”として説明しています)。セントラル・パーク沿いに走るに連れて、バス停のたびに、白人の人が降り、アフリカ系アメリカ人の人が乗ってくるのです。マーカス・カーベイ・パークに着いたころには、乗客のみんながアフリカ系アメリカ人でした。そして、バスを降りて、道々出会う人や、公園内でバスケットボールに興じる若者たちのほとんどがアフリカ系アメリカ人でした。“ハーレム”という地区がアフリカ系アメリカ人が多く暮らしている地区なんだなと、直接肌で感じて納得しました。でも、危ない感じは全くありませんでした。出会う人も、建物や街並みの感じも、整っていて落ち着いている感じ、むしろおしゃれで美しいぐらいでした。ゴミもぜんぜん落ちていません。足元のコンクリートやアスファルトも汚れていません。“ハーレム”いいところでしたよ!

 さて、いよいよ、パーク沿いの通りを西に曲がって、50mほど歩いた先に、あの、憧れのホームズ邸があるはずです!まさか1年半前には、今日、私がホームズ邸の前に立つなどとは思いもしませんでした!はるばる、地球の反対側からやってきました!!

 一歩一歩近づいてみたら、あれ?外観が似た建物が並んでいます。どの玄関だろう?そのために、外観の違いを研究してきました、玄関からの階段が折れ曲がりになっているのはここだけ、そして階段の縁石のくり抜き穴が4枚花びらの花形になってるのもここだけ、地下の入り口の上に小さい街灯の形をした電灯が付いている。よしっ!ここだっ!と決めたものの、『シャーロック・ホームズ邸』とかの看板なども一切なく、確証がない。おっ、そこにすぐ前に車を停めた人がいる、よし!この人。に聞いてみよう!っと言っても英語でどう聞くんだ?「Excuse me.Is this house S herlock Holmes's house?」とか聞いたでしょうか、でも知らないそうです、なんのこと?って感じでした。なので、人に聞いて確かめるのは諦めて、形が3点で一致したから間違いないと自分に言い聞かせました。

 おー!とうとう来た!このドアを開けてでホームズがベル刑事を迎えたのか、この中で、モリアーティが雇った殺し屋に肩を撃たれたのか、この2階にワトソンが寝ていて、それをホームズが進軍ラッパを吹いて起こしたのかと、ドラマのさまざまなシーンが頭に浮かんでは消え浮かんでは消え、気づいたら、ここだと決めてから1時間ほどもこのホームズ邸の前に立っていました。正確には、真夏の日差しがこの日だけは暑かったので、道を越えた反対側の歩道の立ち木でできた日陰に入って立っていました、1時間も!

 それでもまだ足りず、しかし次に行かないといけないので、後ろ髪を引かれる思いでホームズ邸を後にしました。振り返り振り返り。