私たち人間にはその記憶はないが、どうやら私たちは人間になる前には動物であったらしい。

確かに動物的な本能が時々顔を出すことがある。

 

例えば生殖機能がそうであろう。

夜行性というのもそうに違いない。

あるいは肉食などの食べ物もそうであろうと思う。

 

私たちは霊性を向上しようと躍起になっているが、そもそも動物的であるのだから、まずその動物性を排除して人間的になる方が先のような気がするのだ。

 

しかし、上記の3つの動物的な性癖というのは、若者ならば誰でも持っているものであろうと思う。

五木寛之という直木賞の作家がいる。

彼は80歳頃まで夜中に起きて執筆をしていたそうである。

確か大きな地震で生き方が変わったらしい。

それからは夜眠れるようになったそうである。

 

今に始まったことではないが、少子化が問題になってからだいぶ時が経つ。

人間は進化しているのだから、当然動物的→人間的になっていく。

つまり生殖機能はどんどんと劣化していく運命にあるのだ。

 

世界には先進国と後進国があるが、日本は霊的に見れば後進国である、私はそう思う。

後進国ほど男女の性を区別し、差別する。

先進国ほど男女はなくなっていく。

それは霊魂には性がないからである。

 

従って人間が進化すればするほど子供は産まなくなっていく。

つまり少子化は当然の結果であり、これを問題視する方が間違っているのだ。

 

若い時はどうしても夜更かしをしてしまう。

動物は生命の危険から身を守るために夜は起きていることが多い。

しかし、人間は家があるのだから夜は安全なはずである。

明るい時に起きて夜暗くなったら寝る、というのが自然の理にかなっているはずである。

 

食事については、若い時はどうしても肉食が多い。

それは肉体がそう欲するからである。

だが、生命とは何かを知れば生き方は変わるはずである。

 

生きているものにはすべて生命が宿っている。

私たちが日頃食べている肉や魚にも生命が宿っているのである。

 

ただ、このことに気づくのに人間は時間がかかる。

つまりこのことを脳で知ることと魂で知ることには大きな隔たりがあるのである。

ではいつこのことがわかるのかというと、それはその時期が来れば分かる、としか言いようがない。

 

このことが人間の争いや病気に大いに関係しているのだが、こればかりはどうしようもない。

これが進化というものなのである。

進化は遅々として遅い。

 

私は思う。

今の人間は、まず動物的な生き方を捨てて、より人間的に生きるという選択をする時期にきているのではないだろうか、と。

それが上記の3つである。

 

男とか女とかの性という区別、差別を捨てる

夜寝て昼間起きているようにする

生きて動くものには霊魂が宿っているのだから、彼らの寿命を縮めるような行為は間接的にもしない、つまり殺さないように、食べないようにする。

 

この3つを超えることが、動物から人間に変わるハードルのような気がする。

その後に、霊的な進化である霊性の向上に進むことができるのではないだろうか。

急がば回れ、である。

 

霊能力の発現と霊性の発現は別のものである。

そしてこの両方ともが必要である、とシルバーバーチの本に書かれている。

 

何の本かというと、「スピリチュアリズムによる霊性進化の道しるべ」という書籍である。

シルバーバーチの本で霊性について書かれているのは珍しいが、と言ってもこの本の中で霊性という文字を見つけるのは難しい。

購入しなくとも、スピリチュアリズム普及会のHPから読むことができる。

そういう意味では、このHPは充分に役立っていると思える。

 

この本は「シルバーバーチの霊訓」よりも数段難しく思える。

例えば飲食について、ある霊能者がシルバーバーチに質問をしている。

「霊能力のためには、肉を食べないとか酒を飲まないなどは必要なのか」と。

 

それに対してシルバーバーチはいつものように、「動機」が大事であると答えている。

この答えは、何と優しい、すべての霊性の人に配慮した答えであろうか、と私は思う。

 

人間は霊能力が発現しても、上記の質問者のように霊性が発現するわけではない。

霊性の発現というのは、自分が霊魂であるということを得心して、そういう生き方を志す、つまり肉主霊従から霊主肉従へと意識が変わることに目覚めることである、と私は思っている。

 

従って、上記の質問者の方は、霊能力は発現したが、霊性はまだ発現していない、ということができるのである。

 

私は思う。

多くの霊能者の人は、「自分は特別である」そ思ってしまうようであるが、それは間違いの始まりである。

そうやって霊性が発現していないのに、霊性を向上させることなく、宗教を始めてしまう人が多いのである。

霊性が発現して霊性が向上すれば、決して宗教などを始めるはずはないのである。

 

霊能力が発現したら、次は動物的な自分を捨てていく番である。

男とか女とかという性への興味をなくしていくこと。

夜行性をやめて、昼に仕事をするようにすること。

肉体に良いものではなく、生命にとって良い飲食をすること。

 

この3つは霊性が発現することを大いに助けるに違いない。

 

宇宙は正直をベースとして成立しているが、正直よりも先に上記の3つを克服する必要がある。

もちろん 正直 は何よりも大事な霊性のファクターではあるのだが。

今の人類はまだそこまで到達してはいないのではないか、私にはそう思えるのである。